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月を望む聖杯戦争 ◆Ee.E0P6Y2U ……月が綺麗な夜だった。 彼がその坂を登るのは何度目だっただろうか。 僅かに息荒くしながら彼はたった一人で歩き続ける。 その途中風が吹く。道沿いに生い茂る木々がざわざわと生き物のように揺れた。 こんなにも涼しくて気持ちの良い夜だというのに、彼の身体はじっとりと汗ばんでいる。 この山のせいかな。 彼は学生服の襟元を正しながら思った。 その視線の先には延々と続く坂道だ。艶のないアスファルトの道が月に照らされぬっぺりと浮かび上がっている。 ゆるやなに蛇行しているため坂の上に何があるかまでは見えなかった。 こんなにも長い坂道では帰るのも一苦労だ。 この山の上には幽霊が出ると噂の屋敷があるが、幽霊だってこんな山の上には住みたくないに違いない。 と、そこまで考えたとき、あんな坂は山とは認めない、といっていたクラスメイトを彼は思い出した。純朴だが、変な奴だった。 実際、山というのには少し無理があった。それなりに長く、それなりに急な坂であるが、それでも一時間もあれば登り切れてしまう。 だから疲れはするが、別に登れない訳ではない。特に今日は月が綺麗だ。 彼は空を見上げた。都会の雑踏から逃れくっきりとその存在を示す星々の中心、漆黒の夜を背景に真ん丸と光る大きな月がある。 あれはきっと満月だろう。彼は理由もなく決めつけた。 あれがあるから今日は楽だ。実際、深夜にこの坂を上るのに道沿いに備えた電灯では少々心もとない。足下が見えるだけ楽なのだろう。 空を見上げる彼の頬をと不意に風が撫でた。熱がすう、と引いていくのが分かった。 寒いとまではいかなかったが、汗ばんだ体に冷えた風は少し堪えた。 早く帰った方がいい。 冬はまだ遠いとはいえ、こんな夜<じかん>なのだから。 そう思い彼が足を進めようとしたとき、 「……あら」 ――美しく響く銀色の声を聞いた。 そこには一人の少女がいた。 金色に光る瞳は夜の中浮かび上がる。その肌はぞっとするほど白い。 そして、おかしなくらい美しい月に照らされ、その銀色の髪は艶やかにきらめいた。 声は出なかった。 その美しさに見蕩れたか、少女の持つ妖しげな雰囲気に気圧されたか、彼は呆けたように彼女を見ていた。 「こんなところで“マスター”に出会うなんて、少し意外でした」 が、対する少女は素っ気ない。自分との邂逅を、意外と言いつつも何でもないことのように語った。 吹きつける風に真っ黒な服が音を立ててたなびく。そこでようやく彼は少女が法衣服を纏っていることに気付いた。 シスターなのだろうか。そんな、あまりにもぼんやりとした印象を、彼は抱いた。 ひゅうう、と風が吹いた。 少女の髪が舞った。銀色が月光に溶け込むようだった。 吹きつける風に彼は身体を震わせる。 ……今度ははっきりと寒気を覚えた。 早く、早く帰らなくてはならない。 「…………」 だが彼は足は止まっていた。歩くどころか、指先一つ動かせない。 だって、少女が見ているから。 金色の瞳はまっすぐに自分を射ぬいている。その無機質な視線は、あたかも自分の価値<バリュー>を測ろうとしているかのよう。 見竦められた彼は不思議な息苦しさを覚えた。ここにあるだけで、何か罪を覚えているかのような、奇妙な居心地の悪さがそこにはあった。 少女がシスター服を着ているから、なのだろうか。 彼は手に持った学生鞄を手放さないようぐっと手を握りしめた。 教科書やら新聞部の資料やらの、ずっしりとした重みが少しだけ心地よかった。 「いえ。どうやら貴方は“まだ”のようですね」 ……しばらくして、少女は興味を失ったように彼から視線を外した。 そしてふぅ、と息を吐く。そこには僅かに失望の響きがあった。 「“マスター”でないのなら、私に会ったところで何も意味がありません。 少し早かったですね、私に会うのが」 少女はそう言ったきり、彼の方を見なかった。 その言葉の意味は分からない。 自分が何か失敗したのだろうか。 ……そう思いはしたが、それ以上に視線から逃れられた安堵が大きかった。 彼はほっと胸をなでおろす。降りかかっていた圧迫感から逃れられたようだった。 彼は迷いつつも、再び歩き始めた。 何かを探すように坂を見つめる少女を無視して、彼は帰ろうとする。 もうこれ以上、彼女の前にはいたくなかった。 「ああ、それと一応」 すれ違いざま、少女がぽつりと漏らした。 「名乗っておきます。今の貴方には無用の情報でしょうが、近いうちに必要になると思われますので」 彼はもう少女を見ていない。恐らく少女も彼を見ていないだろう。 淡々と仕事をこなす、事務的な素っ気なさで彼女は言った。 “――――――カレン” 機械を思わせる冷淡な口調でありながら、しかしその名は、人を思いやる上質な音楽のように胸に響いた。 「カレン・オルテンシア。私の名前です」 そう彼女は名乗り、そして去って行った。 夜道はくれぐれもお気をつけを、と最後に付け加えて。 そうして彼は歩き続ける。 凍てつくよう月の光を受け、彼は一人歩いていた。 結局彼は、少女に対し一言も喋ることができなかった。 ◇ そうして坂を上り切ると、そこには大きな門があった。 例の幽霊屋敷のものだろう。その門は、来訪者を拒むようにそびえ立っている。 錠前はついていないようだった。入ることだけなら、誰でもできるだろう。 本当に人が住んでいるのだろうか。 門の向こうに続く薄暗い林道を眺めながら、彼は少し疑問に思った。 幽霊だって住みたくないだろう、と先程は思ったが、 それこそ幽霊でもなければこんなところ、住めないのではないだろうか。 彼は何となしに門に触れた。ぎぃと錆びついた鉄の音がする。 硬く、冷たく、来る者を拒絶するような門。しかしこの門はいま開いている。 迷い込む者を口を開けて待っているのだろう。人をおかしな世界にぱっくりと呑み込むことを、この門は待っている。 この先にいけば、きっと―― 風が吹き続けていた。 夜の林はいまや歌っている。あちらでも、こちらでも、揺れ動く木々が奇妙な音を立てていた。 彼は森全体がバケモノになった気がした。 バケモノはこうささやいている。 カエレ カエレ カエレ と。 「帰ら、なくちゃ」 ようやく彼は口を開いた。 その声は変に上ずっていた。自分の声だと言うのに、初めて聞いたようなおかしな乖離がそこにはあった。 それでも、自分がするべきことを確かめ、彼は門から離れ自分の道を行こうとする。 意を決して一歩を踏み出そうとした。 しかし、彼は幽霊を見た。 「え」 見て、しまった。 幽霊は森に現れた。 静まり返った夜の中、白い顔がぬうっと浮かび上がってきたのだ。 そのヒトガタは人と呼ぶには小柄過ぎた。膝までの丈しかないような小人が、闇に溶け込むような黒いローブを羽織っている。 ――真っ白な髑髏が夜の中浮かび上がった。 声は出なかった。悲鳴すら上げられない。 こんなにも近くにいるのに、今の今まで気配すら感じることができなかった。 その事実に彼はぞっ、と総毛立つ。 一秒もなかったと思う。 彼は一目散に駆け出していた。 学校<にちじょう>のものが詰まった鞄を放り投げ、去ろうとしていた異界への門を通り抜けた。 そして、とにかく走る。 走る。走る。走る。汗が吹き出て、視界が歪み、足が悲鳴を上げようと彼は走り続けた。 は、は、は、と彼は必死に息をする。 苦しかった。辛かった。しかし止まる訳にはいかなった。 止まればアレがする。アレは駄目だ。追いつかれれば、自分はただ死ぬしかない。 何故だか知らないが彼はそう確信していた。乱れぼやけ曖昧な意識の中にあって、その事実だけははっきりとしていた。 ――だってあれはサ雎ァ縺トじゃないか。サ雎ァ縺トに人は勝てない。それが聖h縺戦¥譁というものだろう、 彼は叫びたかった。助けて、と。 だが声は出なかった。言葉が見つからない。あるべきはずの言葉を、自分は知らないのだ。 ――メモリーを、預けた記憶を返してもらわなくては。 でも、帰らないと。カエラナイと。 その思いが意識を探る彼の手を邪魔する。 もう指先はかすっている。あとほんの少し、少しだけ手を伸ばせば、届くと言うのに……! 逃げ続けながら彼は必死に手を伸ばす。 あった筈の記憶へ、持っていた筈の想いへ、秘めていた筈の悲願へ、魔術師<ウィザード>としての力へ、 ただ生き残る為に。 だが、届きはしなかった。 だって、それよりも速く暗殺者<アサシン>が追いついてきたのだから。 そもそも勝負にすらなっていなかっただろう。 小柄な体を生かした俊敏な動きを長所とするサ雎ァ縺トに、ただの人間が逃げようなどというのは。 あれ、と彼は思った。身体が急に動かなくなっていた。 変な音がした。すると何故だか力が抜けて、気付けば鈍い音を立て地面に突っ伏していた。 ぎこちなく彼は首を動かした。すると大きな大きなお屋敷が見えた。ああこれが幽霊屋敷か、と納得する。古い造りをしたそれは、いかにもな外観をしていた。 事実幽霊が立っている。突っ伏した彼を見下ろし、手に持った刃をてらてらと赤く光らせながら。 「他愛ない。目覚める前のマスターなどこんなものか」 不意に、幽霊はそんなようなことを言った気がした。 笑っているような、泣いているような、奇妙な表情をした面が彼を無慈悲に見下ろしていた。 「本来はルールに抵触しているそうだが、これも主人の命令だ」 幽霊の言葉は遠い。目の前にいるはずなのに、ずっと向こうの方から聞こえているような心地がした。 どういうことだろう、と疑問に思ったが、すぐに答えが出た。 ああ、遠のいているのは自分の意識の方か。 幽霊が近づいてくる。その手には刃がある。 確実にトドメを刺すつもりなのだろう。万が一生き延びることがないように。 そうして死が彼に触れようとしたとき、 「そこまでです、アサシン」 凛とした声が響いた。 「一般NPCの大量殺戮は禁じられています」 遠のく意識を何とかつなぎ留める。少しでも気を抜けば持っていかれそうだ。 それでも彼は何とか顔を上げた。ここでオイテイカレる訳にはいかない。 そして、一人の聖女を見た。 「貴方は既に再三の警告を受けているので分かっているでしょう。 これはメモリー復帰前のマスターにも適用される条項です」 凛然と語るその姿は気品に満ち溢れており、その青い双眸には一切の迷いがない。 銀の飾りに収められた金色の髪、輝く甲冑とたなびく藍色。 何よりその手にあるものが異様だった。 それは旗だった。大きな大きな、背丈ほどもある旗を聖女は堂々と握りしめている。 「アサシン、ハサン・サッバーハ。今すぐに攻撃を止めなさい」 その警告には差し迫ったものがあった。 最後通告。聖女が決して悪を告発する際の、有無を言わせぬ戒めがあった。 それを前にして、幽霊は僅かにたじろいだようだ。トドメを指さんとしていた刃はぴたりと止まり、幽霊は聖女を見た。 対峙する二騎のサ雎ァ縺ト。 聖女と幽霊。それはまるで生と死を象徴しているかのようであった。 一対の狭間で、彼は必死に意識を繋ぐ。 ――ああ思い出してきた。 ――ここで僕がやるべきこと、やりたかったことは。 つう、と右腕に痛みが走った。 それまでのぞっとするほど冷たい刃の痛みとは違う、熱く煮えたぎる力を感じさせる痛み……! 強引に痛みを振り払い、彼は右手を掲げた。 そこには三画の光が灯っていた。見覚えのない奇妙な紋章。しかしそれが力であり印であり、何よりこの場にいる証明であることを彼はもう思い出していた。 「令呪……! いままさに“マスター”としての目覚めが始まっているのですか」 聖女が僅かに驚きを滲ませ、動きを止める。 その瞬間を見計らってのことだろう、幽霊の黒衣が静かに待った。 刃がきらめく。白の髑髏が目覚めつつある彼へ猛然と迫る。 「令呪を以て命じます――止まりなさい、アサシン」 が、それを聖女が制した。彼女がその腕に灯した光をかかげると途端に幽霊は動きを止め、ぬぅ、と唸り声をあげた。 「何故止める、ルーラー! その男はもはや一般NPCなどではない。この聖杯戦争の参加者たるマスターだぞ!」 「その判断は“裁定者”のサーヴァントである私が下します。 完全に記憶が覚醒しない間、彼はNPCであり保護対象になります。そして――」 不平を叫ぶ幽霊に対し、聖女はそこで一度言葉を切る。 一瞬の間が空く。その間に彼女は持ち合わせた溢れんばかりの容赦をすっぽりと置いてきたかのように、 「――アサシン。再三に渡る警告の無視した貴方は処罰の対象になります。 ステータス低下、令呪の剥奪等のペナルティを課します。貴方のマスターに伝えてください」 そう突き離すように告げた。 その言葉に幽霊は一瞬動きを止める。だが、一瞬だった。幽霊は何かに突き動かされるように再び地を蹴った。 その標的は地に伏せる彼ではなく、聖女。 「【空想電――」 聖女の下へと飛び込んだ幽霊はその左腕を解放せんとする。 空間がぐにゃりと歪み、そこから秘められた神秘が溢れ出る。そして聖女の命を奪わんと異形の腕が迫る。 「愚かな」 しかし、幽霊の神秘が届く前に、聖女は告げていた。 「令呪を以て命じます――アサシン、自害しなさい」 と。 聖女の掲げる光が迸ったとき、事は全て終わっていた。 幽霊は己の胸を自ら突き、末期の言葉一つも漏らすことなく静かに倒れた。 そうして再び森は静かになった。幽霊の身体は光に包まれ、その存在感を薄めていき、最後には跡形もなく消え去っていた。 騒いでいた木々も、耳障りなほどうるさかった風も、幽霊のように何時の間にか過ぎ去っていた。 月はたださんさんと輝いていた。そびえ立つ古屋敷の前で倒れ伏したまま、彼は手に届きそうなほど大きな月浮かぶ夜空を眺めた。 ――ああ、月が綺麗な夜だ。 そう思った時、またあの声が聞こえた。 「終わりましたか、ルーラー」 月と同じ色をした、凍てつくほど美しい声が。 揺れる銀の髪、人形のように美しい肌、映すものの罪を表すかのような澄んだ瞳。 カレン・オルテンシア。 闇の中より歩いてきたのは、会ったばかりのあの少女だった。 今度は法衣服ではなく奇妙なほど扇情的な漆黒の衣装を身に纏っている。 また、一枚の長い布が彼女を守るようにその身に絡んでいる。 紅い紅い、布だった。 「はい。結果としてアサシンを脱落させることになりましたが、まずかったですか?」 「いえ問題ありません。あれほどの警告を無視した以上、当然の処置です。 最後の攻撃はマスターの令呪でしょうね。あのアサシンも愚かなマスターを持ってしまったものです。 もっとも、そのマスターも今頃解体が始まっているでしょうが」 淡々と語るカレンらの声を、彼は現実味の薄い、どこか遠くのことのように聞いていた。 が、しかしもはや彼はそれを無視することができない。先ほどまでは全く意味の分からなかった言葉が、今や自分の身に迫った情報として頭に入ってくるからだった。 「……それで、彼ですが」 聖女――ルーラーと呼ばれていた少女が倒れ伏す彼を一瞥した。 その視線には傷つく者に手を差し伸べる慈しみが感じられたが、同時に聖女として確かな規範を重んじているような色があった。 「“マスター”として目覚めているようですね。令呪が刻まれ、記憶も取戻しつつある」 カレンが平坦な口調で言った。ルーラーのそれと違い、非常に事務的な響きだった。 「で、あなたはもう今の状況が分かるでしょう?」 頭上から問い掛けが降ってくる。 カレンのの声色は先ほどの、何も知らなかった頃に会ったときと何ら変ってはいない。 「……聖hィ戦争」 彼は声を絞り出した。その単語をひねり出すだけで、じん、と頭が痛んだ。 消された筈の、空白に上書きされた筈の言葉を思い出す。そんな矛盾が痛みを読んでいるのかもしれない。 「まだ記憶の封印が完全には解けていないようですね」 その様子を見てカレンがふぅと息を吐いた。 「まぁこうして覚醒の瞬間に居合わせたのも縁です。少し手伝ってあげましょう。 貴方が持っている筈の記憶をたどる形で状況を説明していけば、おのずと記憶の回復もできるでしょうし。 では、説明いたしましょう。この聖杯戦争――月を望む聖杯戦争について」 セイハイ、センソウ。 聖杯戦争。 その単語がようやく意識に浮かび上がってきた。 そう、それがずっと思い出せなかった。 届かなかった。 「聖杯戦争とは万物の願いをかなえる“聖杯”を奪い合う争い。 魔術師たちが己が望みを物にすべく七騎の“サーヴァント”を統べ競いあう。 あり大抵に言ってしまえば、万能の願望機を求め殺し合う。 そんなシステムのことです」 聖杯、サーヴァント、願望機……その単語が聞こえる度、脳みそをかきまぜられているような痛みが走る。 同時に、ああ、あの幽霊はサーヴァントだったんだな、と納得もしていた。 「サーヴァントとは聖杯がこれまでに観測し記録してきた膨大なデータから再現される、過去の英霊たち。 人類が生み出してきた情報の結晶。それを七つのクラスに当てはめる形で再現する。 セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー……彼らサーヴァントを参加者たるマスターは令呪によって従えるのです。 このシステムは当初、それぞれ一騎づつ選出された、七騎のサーヴァントで行われていました」 ですがこの“月を望む聖杯戦争”は違います。カレンはそう淡々と告げた。 「この“月を望む聖杯戦争”で呼ばれるサーヴァントはその何倍にも多い。 二十……いえ三十に近いサーヴァントが呼ばれることでしょう。 それはひとえにあの月に依るもの。 地球をその誕生から観察し続け、地球上のあらゆる生物、あらゆる生態、あらゆる歴史、そして魂さえも記録してきた――月の聖杯。 ある者はそれをこう呼びました。 量子コンピュータが魔術的概念により実現されている自動書記装置。 “ムーンセル・オートマトン”と」 そして、とカレンは月を背に言った。 「ここは月を手にしようとする者が集う箱庭。月に停泊せし放浪者。存在しない筈の二番目の月。その観測のされ方は様々です。 月は観測者次第でいかようにも姿を変え得る。貴方方がここをムーンセルの付随物としてみたように、ある者はそれを方舟<アーク・セル>として見た。 しかし何にせよ意味は同じです。それは……月に到る階段<スパイラル・ラダー>」 月の聖杯、ムーンセル、方舟……理解が追いつかない。何しろ思い出しながら、だ。 それでも、彼は一つ分かっていた。 そうか、自分はいまあの月を目指しているのか。妖しくも美しいあの月に、手を伸ばしている。 「ここはムーンセルが観測した過去。月より降りそそぐ情報を受け船が造り出したユメ。 例えばこの屋敷。ここはかつて一人の魔法と使いと、一人の魔女、そして一人の孤独な青年が住んでいました。地名自体は白犬塚というそうです。 少なくともそんな可能性を持った並行世界があり、月は観測した。それを再現した場所。 ここでは月が識る、土地や歴史、木々、水、空、そして人間が再現されている。 どこでもあって、どこでもない、過去であり、未来であり、現在である」 そう、それが今回の聖杯戦争の舞台。 彼はようやく思いだしてきた。自分が何者であったかを。 「貴方がたは様々な方法でこの方舟にアクセスしてきました。 量子ハッカー、魔術師<ウィザード>として月を見つけた者、古来より伝わる魔術師<メイガス>として月に到った者、全く異なる並行世界の力より月を探し当てた者、はたまた月のきまぐれか何の能力もないのに呼びこまれた者……その手段は様々です。 鍵は様々なカタチで観測されました。それはある時はデータ上に浮かび上がるコードとして、ある時は聖遺物の欠片として現れ“ゴフェルの木片”として。 ただそれを手にし。参加者としてマスターとなった以上、何かしら願いを持っているはずです。 月を望み、月に到る。万能の願望機を願った貴方がたには先ほど告げたように殺し合ってもらいます。 ――最後の一人となるまで」 殺し合う。その言葉もまた、カレンは淡々と言った。 「そして、私たちはその監督役。聖杯戦争が滞りなく行われるかを裁定する者。 私とルーラーは参加者ではなく、運営に携わるものということです」 よろしくお願いします。 言ってカレンはぺこりと頭を下げた。 隣りに佇むルーラーも軽く礼をした。彼も挨拶をしようとしたが、それよりも早くカレンが口を開いていた。 「監督役として、助けを請われれば出来る範囲で応えましょう。円滑かつ平等に活動が行える取り計らいましょう。 ですが場合によっては警告と、そして制裁を下します。先ほどのアサシンのように」 今しがたルーラーにより脱落させられた幽霊――アサシンの姿が脳裏を過る。 ルールを破れば、ああなる。彼女らにはそうする力がある。 「もっとも、余程のことがない限り私たちは手を出しませんが。現状、一般NPCへの度を過ぎた無差別殺戮は禁じられていますが、それ以外で大きく動くことはないでしょう。 NPCの殺人も、よほどひどくない限りは何も言いません。サーヴァントの魔力源として魂喰いを行うこと自体は何らありません。 その他追加ルールがあれば随時お伝えします。ただしルーラーにはその権現、各サーヴァントへ二回まで使用可能な令呪があることを覚えていてください」 令呪。 その単語を聞いた彼は右手の甲に刻まれた三画の紋様を眺めた。 先ほどはぼんやりとしていた光も、今やくっきりと確かな輪郭を持ってその手に定着していた。 「令呪とは本来マスターとしての証、たった三回だけのサーヴァントへの絶対命令権。 それがあるからこそ、貴方たちはマスターでいられる。 逆にいえば、失われた時点でマスターとしての資格を失います。令呪なくともサーヴァントを従えることができるのなら別ですが、そうでないのならば強制的にSE.RA.PHより消去<デリート>されます。 それを手に入れるまでが“予選”でした」 “予選” 思わず彼は聞き返していた。 「“予選”です。全てのマスターはSE.RA.PHにアクセスした際、そのメモリーデータを封印された状態でアバターが生成されます。 聖杯戦争のことは勿論、魔術のことも、自分が秘めた願いのことも、全て忘れた状態でこの街で過ごしてもらいます。 その状態に違和感を抱き、記憶の封印を解き、自らマスターであることを思いだす。そのとき初めて令呪が浮かび上がるのです」 そうか、だから忘れていたのか。 自分自身のことを、こうまでも。 彼は不思議と腑に落ちた心地になった。 「それが“予選”。中には自分がマスターであったことを思い出すことすらできず、NPCとして埋もれていく者もいます。 そんな中、貴方は思い出しました。マスターとして、月に認められたのです」 おめでとうございます。カレンは平坦な口調で祝福の言葉を漏らした。 彼はそれを呆然と受け止める。 まずカレンの顔を見つめ、次にくっきりと浮かぶ令呪を見つめ、最後に蘇りつつある自身の願いを見つめた。 ――ああそうか、僕は……月を望んでいたんだな。 「記憶封印の解除と同時に、月よりサーヴァントが宛がわれます。 日常の違和感に気付き、心に刻んだ願いを思い出し、サーヴァントと契約する。 それが参加者に与えられた最初の試練」 胸が昂揚するのが分かった。自分はいま、喜んでいる。 最初の試練を、辛くも自分は突破したのだ。 「サーヴァントを手に入れれば、あとは残りのマスターを全て倒すだけです。 それだけで、貴方は月に到れる」 そんなこと簡単だろう、と彼は奇妙な自信に支配された。 先ほどの状況を突破できたのだから、あとはもう大丈夫、と。 根拠もなく思っていた。 カレンは顔色一つ変えず口を開く。 「ですが」 そこで、それまでカレンの隣で無言を保っていたルーラーが、どういう訳か顔を背けた。 「貴方にもうその資格はありません」 ――え? 「だって、貴方もう死んでいるもの」 ……その口調は相変らず平坦で、事務的で、淡々としていて、それでいで優しさやいたわりといったものを感じさせた。 彼はそこでようやく己の胸を窺った。 アサシンに一突きされた胸からは血がだくだくと流れ、心臓部はぽっかりと穴が開いていた。 身体<アバター>は既に解体が始まっている。情報が剥がれ落ち傷口は泥のように黒ずんでいた。 「あの時点で一般NPCだった貴方は保護対象でありましたが、だからといってその際に受けたダメージの回復まではできません。 貴方が助かる見込みはもうないでしょうね。目覚めるのが、あと少しだけ遅かったですね。 帰ろうなんて、思っているから。帰る場所もないのに」 ああ、そうか。 そういえば、さっき 自分はどこに帰ろうとしていたのだろうか? そもそも、僕の名前は。 「貴方の脱落は傷を見た瞬間分かっていました。 それでもわざわざ丁寧に説明したのは、半分マスターとして覚醒していた貴方のデータが、変な形で残らないようにするため。 死んだことにすら気づかず、サイバーゴーストになんてなられても監督役として困るもの。 だから、納得して死んでもらいます」 カレンはそう言って目を閉じた。 それはまるで冥福を祈るよう―― せめて名前を教えて欲しい。 僕の名前を、僕が何というカタチをしていたかを。そしてできることなら呼んで欲しい。 でも、無理だろうな。 そう思ったからこそ彼はただ陶然と月を見ていた。 綺麗な綺麗な、月。 空に浮かぶ月は依然変わらず手が届きそうで―― 「では、聖杯戦争を始めます」 ――絶対に届きはしない。 ◇ そうして、月海原学園の一学生を演じていた筈の彼は、消滅した。 彼がいかな願いを持った、どんな魔術師であったのか、カレンは知らない。 ただ、もう彼にまつわる全ての情報が解体されてしまったことは確かだった。 それを見届けたカレンは一言呟いた。 「では、聖杯戦争を始めます」 と。 「始まるん……でしょうか」 その呟きをルーラーはどこか自信なさげに反芻した。 「まだ、あとから目覚める人も居るんじゃないですか。 さっきのあの人のように」 「かもしれませんね。でも、恐らくないでしょうね。 記憶の封印を解けるとしたら、大体今ぐらいがリミットでしょう」 封印された記憶と、長く付き合えば付き合うほど元の記憶は埋もれていく。 だから、この辺りが限界だとカレンは当たりをつける。 恐らく各マスターが目覚めた時間にそれほど差はない。あって数時間程度の差だろう。 だから実質聖杯戦争が動き出すのは今ぐらいからだ。 「一体、どんなサーヴァントが呼ばれているのでしょうね」 ルーラーがぽつりと漏らした。 これから始まるであろう戦いに、思いを馳せるように。 カレンは視線を上げた。 その視線の先には、この丘から見下ろした街の光がある。 錆びれたマンションがある。昔ながらの商店街がある。できたばかりのレジャープールがある。奇妙な噂の絶えない名家の屋敷がある。人を導く教会がある。 月が用意した此度の聖杯戦争の舞台。 今頃街では多くのマスターがサーヴァントと出会っている頃だろう。 いかなる英霊、あるいは反英霊がこの地に呼ばれたのか。 それはまだ分からなかった。 ――ただひとつ分かることがあるとすれば、 カレンは無言で空を見上げた。 月が、ある。 美しく輝く、月が。 こんなにも近しくあの光を拝めるのは、きっとここだけだろう。 ――みなあの月を望んでいる、ということでしょう。 【アサシン(ハサン・サッバーハ)@Fate/hollow ataraxia 脱落】 【プロローグの青年 @Fate/EXTRA 脱落】 【二次二次聖杯戦争 開幕】 主催 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 BACK NEXT OP.1聖杯戦争序幕 ~ 宙船、来たる ~ 投下順 001 言峰綺礼・セイバー OP.1聖杯戦争序幕 ~ 宙船、来たる ~ 時系列順 001 言峰綺礼・セイバー BACK 登場キャラ NEXT 参戦 ルーラー(ジャンヌ・ダルク) 029 初陣 参戦 カレン・オルテンシア 050 主よ、我らを憐れみ給うな
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A.J.@監督役トニー:【OP】A.J.@監督役トニー:「レディイイイイイイイイイイイイイス・エエエエエエエエエエエン・ジェントルメエエエエエエエエエエエエエン!!!?」A.J.@監督役トニー:近くにあるテレビ、手元にある携帯など、とにかく映像が見れる端末にそれは映ったA.J.@監督役トニー:スポットライトに照らされた、豪華な飾りをつけた、かろうじて神父であるとわかる格好の男がマイクを手に高らかに叫ぶA.J.@監督役トニー:『聖杯戦争に参戦してくれた参加者諸君!まずはミーから心からのお礼を!!セーーーーンキウ!!!』A.J.@監督役トニー:『ユーたちのおかげでミーや視聴者諸君がガンガン楽しめるのさァ!!!』A.J.@監督役トニー:『そう! この聖杯戦争は、会員様限定!有料放送をされてるのさァ…だからみんな、頑張って視聴者の皆様を楽しませてくれたまえ!!』A.J.@監督役トニー:『え、うさんくさいって?』A.J.@監督役トニー:『ノォォォォォォプロブレムッ!!!』A.J.@監督役トニー:『ミーがうさんくさいのはまあ我慢してもらうとして、しかしユーたちが殺し合い奪い合ってもらう聖杯、これは本物だ』A.J.@監督役トニー:カッ、と男の後ろにある台座が、そこに置かれた聖杯が照らされるA.J.@監督役トニー:『この通り!! ユーたちはよその聖杯戦争と同じようにこれを奪い合ってもらって願いを叶え!!』A.J.@監督役トニー:『ミーはその様子を放送して利益を獲得!!』A.J.@監督役トニー:『HAHAHAHA!! WIN-WINってヤツだNE!!』A.J.@監督役トニー:『あ、そうそう!! 自己紹介が遅れたね!!』A.J.@監督役トニー:『ミーの名前はアーロン! アーロン・ユルキアイネンさ、よろしくブラザーズ&シスターズ!! フレンドリーにAJと呼んでくれ!!』A.J.@監督役トニー:『それじゃあ明日から開始させてもらうよォ!! 諸君!! 検討を祈ってるぜえ!!』A.J.@監督役トニー:『シィィィィィズゴオオオオオオオオオウラッキィィィィィィィ!!!!』A.J.@監督役トニー:派手なポーズを取ると、ブツン、と画面が消えた 京里@たかみち:【オープニング】京里@たかみち:『この街で戦争が行われる』 裏通りにはありふれた、よくある抗争騒ぎと思っていた。 しかし少し調べてみると、次々とそれに関する情報が集まったのだ。京里@たかみち:7つの陣営に分かれ頂点を賭け争うこと、以前にも行われたことがあり場合によっては死者も伴うこと、それが聖杯戦争と呼ばれる事。 そして何より目に入ったのは、この戦争の審判役は戦争を見世物にして儲けを目論む男であるということ。京里@たかみち:願いを叶える器だとか魔術師がどうとかと言われ荒唐無稽と言ってやりたかったが、 自分の右手の甲の紋様と今俺の傍に佇むサーヴァントとやらの存在がその実在を雄弁に語っている。京里@たかみち:…そういえばこのサーヴァントを召喚してからなんだか体の動きがいい。 加えて無性に腹が減るが、魔術というのはこういうものなのかもしれない。京里@たかみち:何はともあれ、俺のやることはひとつ。あれだけ煽られては引き下がる気も起きない。 携帯をポケットにしまい、気合を入れる。京里@たかみち:「…俺の街で、好き勝手するんじゃねえぞ、阿呆が!!」 フランチェスカ@辿条:【Francesca・Croce・オープニング】フランチェスカ@辿条:掃き溜めと言うに相応しい場所だった。 質の悪い酒を飲み散らかした大人の吐瀉物を踏み荒らして、迷い込む馬鹿な旅行者からなんでもいいから分捕って走り去る。 私はそう言う場所にいて、きっとゴミ以下の存在だった。そして踏み潰される吐瀉物のように、価値のない存在だった。 世の中は価値が全て。ちゃらちゃらと鳴らす硬貨数枚で春を売った女のように、口汚く罵られながら油塗れになる男のように、海の向こうへ連れて行かれる子供たちのように、金があれば人は如何様にも動かせると我が偉大なる故郷にて学んだ。 金と言うのはどうにも素晴らしいものだ、美味い食事が食べられる、高度な教育は受けられる、綺麗な服は着る事ができる———人の命を好き勝手に出来る。ああ、なんと甘美な響きであろうか。 「なあ、きみもそう思うだろう」 目の前の彼は頷きもしなければ否定もしなかった。分かっている。彼の価値観はそんな所にいないのだ。 私は音楽家、技術を売る人間だ。素晴らしい音楽を、パフォーマンスを、人々に満足と言う価値を売る誇り高き音楽家だ。 そしてこれから、私は更なるパフォーマンスを求められることになる。フランチェスカ@辿条:魔術による殺し合い。聖杯戦争。人間が人間を食い散らかす掃き溜めの舞台。フランチェスカ@辿条:「まるで娼館じゃあないか、そう思うだろう。なあ」 目の前の彼は頷きもしなければ否定もしなかった。分かっている。彼の興味はそんな所にいないのだ。 「さながら我々は娼婦、浅ましくも力と知恵を手に媚を売って聖杯と言う報酬を涎を垂らしながら奪い合うのだ」 彼は何も言わなかった。構わない。雑音など気にすることはない。 「果たして」 口角を吊り上げた。少しだけ、語尾に怒気が混ざってしまったかもしれない。どうせ気にするような人は誰もいないのだけれど。 「果たして、そんなものが液晶越しの出来事とでも思っているのかい?」 そこだよ、そこの君たちだ。画面の前で大口開けて殺し合いを嬉々として観戦する、きみたちに聞いているんだよ。 静かになった機器をそうっと撫でる。ああ、窓の外には、気をつけな。 ???@ゼロサキ:??? OPシーン???@ゼロサキ:急にテレビの映像がつく・・・そこにはとある部屋映っていた 暗い・・・窓ひとつない部屋・・・恐らく書庫だろうか・・・そこに二人の人影があった。 ????「もう少しで始まりますね・・・」 ???「あぁ・・・これで私の願いが叶う・・・この体も悪くはないが・・・どうにも欠点が多い・・・」 ???「あぁそういえば・・・そういえば貴様に聞きたいことがあったのだ。」 ????「なんでしょう?」???@ゼロサキ:???「難しいことじゃない。ただの言葉遊びだ。お前は・・・生きるとはなんだと思う?」???@ゼロサキ:????「生きるですか・・・それは難しいですね・・・逃げることです。私を殺そうとする全てから。」 ???「なるほど・・・そのためにあれ作った貴様らしいな」???@ゼロサキ:????「ならあなたにとって生きることとは?」 ???「俺は「恐怖」を克服することが「生きる」ことだと思う」 ???「そのために俺はここにいる。太陽を克服し、ジョースターの血統を潰すために。」 ????「ならば勝たなければ行けませんね・・・DIO様・・・全てはあなたのために」DIO@ゼロサキ:DIO「当然だ、なぜなら俺は・・・俺の能力は世界を総べるべき能力なのだからな!」 DIO「クク・・・・ふはははははははははははははは・・・!貴様見ているなぁ!」 その瞬間、テレビの画面が砕けた。 ディオ・ブランドー 参戦 神足 文斗@たまき:【神足文斗 OP】神足 文斗@たまき:古物商の実家の手伝いを任されたのがほんの数日前のこと。 部活も大きな大会が終わり、少しゆっくりできると思った矢先にこれだ。 接客はめんどくさいから絶対にしたくないと言い張ると、街はずれにある古い倉庫の掃除を押し付けられた。神足 文斗@たまき:「埃を取り払うだけでいいから」と言われてまあそのくらいなら……と承諾した数日前の自分を叱責したい程度には滅入っている。 表の顔は古物商、裏の顔は魔術師である父親が仕事のついでに「魔術に使えそうなもの」を片っ端から突っ込んでいた倉庫だとは聞いていたが、予想以上に変なものであふれ返っていたからだ。 明らかに装丁に使われている素材が異常だとわかる本。猿のモノで作ったと思い込みたい頭蓋骨のランプ。人間の苦しみ悶える様を描いた絵画……。神足 文斗@たまき:「これ、絶対に呪われてるよなぁ……」 念のため呪い除けの効果があるというアイテム—金属の欠片のようなもの—を持たされてはいるが、正直気味が悪い。悪趣味っぷりに辟易しながらも一つ一つ埃を取っていく。 その中に、やけに気を惹かれるものがあった。神足 文斗@たまき:「……なんだろう、これは」 真っ黒に汚れた金属の塊だ。ほかの物と違うのはそこに施された装飾がヒトの体をモチーフにしていなかったこと。 何かの葉と鳥の翼が彫られているようだ。手に取ってみるとそれが欠けた鎧であることがわかる。 ——この欠け方、どこかで見たことがあるような……。神足 文斗@たまき:ふと思い立って懐にしまってあった魔除けのアイテムを取り出す。 「やっぱり。ピッタリだ」 欠けたところにそれを充てると、パズルのピースのようにぴたりと嵌った。 あとから接着剤で修復なんてやったら絶対怒られるよな……などとぼんやり考えていると、突然手元の鎧が震えだした。神足 文斗@たまき:「あッ!?」 突如手に伝わる痛みに耐え切れず思わず鎧を落として後ずさる。がらんと床に落ちる鎧。 右手の甲が熱に焼かれたようにずきずきと痛む。恐る恐る目をやると、そこには見たこともない真っ赤な紋様が刻まれていた。 「え、あ、な、何が——」神足 文斗@たまき:うっすらと発光しているようにさえ見えるそれに戸惑っていると、不意に顔に強烈な熱を感じる。 どうやら鎧が発熱しているらしい。真っ赤に光り輝き、急激にこちらにも伝わってくる。それを中心に光の環と文字のようなものが地面に現れ、自分の足元まで拡がる。 一際大きく鎧が輝くと同時に、猛烈な熱風が辺りを覆った。神足 文斗@たまき:気が付くと、少し離れたところにあるガラクタの山の中まで自分の体が移動していた。 いや……移動したのではなく、吹き飛ばされてここまで叩きつけられたのか。 ぶつけたらしい体の至る場所がズキズキと痛む。埃が充満し、まともに目を開けない。神足 文斗@たまき:必死に目元を擦っていると、埃に覆われた視界の向こうからがちゃがちゃと金属がぶつかる音と人の声が聞こえる。 「やった!やったーっ!やーっと現界できた!流石に無理かなって思ったけど、駄目元で試してみるもんね!」 聞いたことのない女の声だ。随分と喜んでいるらしい。埃がおさまるにつれ、その姿が露わになっていく。神足 文斗@たまき:赤く長い髪を三つ編みにして背中に垂らした、青い瞳の美しい女だ。 年は自分と同じくらい。体は鎧に覆われていて、今にでも武器を構えて戦に向かいそうな、好戦的な印象を受ける。 ——正直、関わるとろくなことにならなそうな感じがする。神足 文斗@たまき:「あら……あたしを召喚した人はどこかしら。まさか今ので死んだとか?」 「ごほっ……あの、勝手に殺さないで……くれませんか……」 「やだぁ、そこにいたの?黒すぎて気づかなかったわ」神足 文斗@たまき:とは思いつつも、こんな状況で関わらずに凌ぐなんて無理な話だ。ゴホゴホと咳込みながらも彼女の発言を否定する。 「まさかこんなのに耐え切れない軟弱野郎だなんて……ま、召喚に成功したことは認めてあげる。少なくともあたしの運命のヒトではないみたいね」 彼女が差し出した甲冑に覆われた手を掴み、ガラクタの山から体を起こす。どさくさに紛れてとても失礼なことを言われたような気がするが、聞き流しておこう。神足 文斗@たまき:「さて。今回は特別にあたしの方から名乗ってあげるわ」 上から目線に加えて一方的にべらべらと喋る女。 元から女は得意ではないが、自分が一番苦手とするタイプのようだ。自己紹介なんて頼んでないのに。押しつけがましいのも苦手だ。神足 文斗@たまき:「サーヴァント、ランサー!召喚に応じ推参したわ!……なーんて、一度言ってみたかったのよねこのセリフ!」 ……こいつ、今何と言った? PLAYER@みみぴい:【オープニング】PLAYER@みみぴい:俺の名はリュナス・ハックマン。 世間ではこいつを俺の本名というのだろうが俺の本質はテレビゲームのキャラクターと同じだ プレイヤーが思いついた名前を付け、操作する 俺の意思とは関係なく、依頼(クエスト)やら調教(レベル上げ)やらこなさせる。 同じ事を俺の生みの親はやっていたPLAYER@みみぴい:そうだよ。聖杯戦争。 そいつを勝ち抜くために親(プレイヤー)は俺のレベルを上げた 実戦経験がある分ちょいとした雑魚戦では困らない。 だが、キャラクターとして意思がある分。この状況はなまじ退屈だ 長い間名付けられた名前。役どころ。リュナス・ハックマンとして動いてやったが そろそろ俺もコントローラーを握りたい。人形(キャラクター)は退屈だPLAYER@みみぴい:そんなときにようやく知らせが舞い込んだんだ。 待ちに待った新作。聖杯戦争開催の吉報。 スマホの画面からクソ程胡散臭い司会者が、テンプレ的に、バトルロワイヤル形式の内容を告げる。PLAYER@みみぴい:心が躍った。ようやく俺もプレイヤーとして自分(キャラクター)を操作できる。 ようやくクソゲーの中でぼんやり指示を待つだけじゃなくなる。 コントローラーがこの手に渡るんだ。PLAYER@みみぴい:御託やnpcの名前はこの際どうでもいい。 重要なのは俺に参加権があるってことだ。用済みになったそれの電源を切る。 それをポケットに入れて一人ほくそ笑む。 聖杯(トロフィー)は自分のために使おう。 制約通り家に収める必要はない 暇つぶしにやっていた過去のゲーム達。さようなら 正義の勇者、伝説の傭兵、優しい魔王。そんなものは飽き飽きだ 選手交代だろ。この時まで散々待たせやがって。 次は俺の番だ。さあよこせ。PLAYER@みみぴい:血濡れの手の甲に浮かんだ令呪に全身が総毛立つ。 目の前の白い獣は俺の最初で最後の武器だ。 「せっかくだからラスボスになろうぜ。ヤギ」 「メェェー」PLAYER@みみぴい:さあ新作の登場だ。電源を入れタイトルロゴの挿入を待つ。 名前をいれてください?ははは。aaaaでもあああああでも何でも構わないさ。 俺はプレイヤー。ゲームスタートだ 零史@エルトラスト:【エルトラスト・OP】零史@エルトラスト:「聖杯戦争。このような物を主はお許しになったのでしょうか」 「わからない。でも、貴方がそう仰るなら、この戦いは無意味なのでしょう」零史@エルトラスト:——さて、ひとつ僕の話をしよう。零史@エルトラスト:ホムンクルスをご存じだろうか? 詳細は省くが、まあ所謂人造人間だ。 魔術師なら誰でも持っているかもしれないし、いるかもしれない。 そんな中の戦闘用ホムンクルスの1体。それが僕だった。零史@エルトラスト:マスターは僕に戦えという。その為に生まれたのだという。 でも、僕は自由が欲しかった。 人になりたかったんだ。零史@エルトラスト:聖杯戦争が始まり、僕のマスターは僕を戦場に出した。零史@エルトラスト:客を喜ばせる仮初のマスターとして。零史@エルトラスト:教わった通りに召喚されたサーヴァントは、いや、彼女は…… 「もう大丈夫、貴方に救いがあらん事を」 僕にとっての、神様だった。零史@エルトラスト:もうマスターなんて知った事か。 貴方とともに戦おう。 貴方とともに生きよう。 それが僕の望みなのだから。 葵@RE=IN:【久我原 葵・オープニング】 聖杯戦争——万能の願望器を巡る殺し合いに私が参加したのは、なんてことの無い使命感だった。 久我原が治めるこの土地で、勝手に魔術儀式を開催し、あまつさえそれを見世物にする。……到底許しておけるものではない。 可能な限り迅速に、そして確実に、聖杯戦争を終結させる。何としても…どんな手を使ってでも。 「……信じていますよ。貴方と一緒になら、この聖杯戦争を終結させられると」 「任せてくれ、マスター。僕の全てで君を勝利に導こう」 ええ、それでは…… 「さぁ、聖杯戦争を終わらせましょう。何としても守りますよ、この地を……!」 できるなら、何事もなく終わってくれればいいけれど……。 最初|次→ 1日目|01SB聖杯戦争OP |01メイン |0101教会 |0101住宅街 |0101霊地| 2日目 |0102教会 |0102住宅街 |0102霊地| 3日目|0103教会 |0103霊地| ※申し訳ない、この日だけログ保存形式を間違えたため記事内にリンクがありません…! 4日目 |0104学園 |0104住宅街| 5日目|0105学園 |0105霊地| 6日目|0106住宅街| 7日目|0107霊地| 8日目|0108教会| 9日目|0109霊地 |0109教会| 10日目(最終日) |0110霊地 |01SB聖杯戦争ED |01ネタバラシ回|
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+一日目 英霊召喚 1-31 三度目の聖杯戦争、7人のマスターを招集し、それは順調に行われる筈であった。 しかし、召喚される筈ではないサーヴァントが召喚され(1)、召喚される筈であったサーヴァントは召喚されていない(2)という事態に陥る。 例年通り、その言葉の当て嵌まらない、如何なる事が起きてもおかしくない状況。聖堂境界内部、監視役の路道 想武郎は苦悶の表情を浮かべた。 (1) エスカトス、という今までに存在を確認されていなかったクラス。それに加え本来なら教会側、ゲームマスターを務める筈のルーラーが召喚されている。 (2) 本来呼ばれるであろうサーヴァントはセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七騎である。 今回召喚されていないのはバーサーカーとライダー。 +三日目 狂いし皇、忘却の皇 32-46、49 三日目の夜に、誘われるかのように集う二騎のサーヴァント。 ルーラーと、バーサーカー。二人はお互いを認識しただけで、相容れない存在だと――自らの因縁だとソレを理解し、戦闘を開始する。 宝具の押収、その容赦ない攻防、しかしそれは、お互いのマスターへの大きな負担でもあった +五日目 天上天下、旧き妖 52-67 同盟を求めるランサー、そこに対し一組消して出方を伺うと矛を向けるアーチャー。話すまでもなく交渉は決裂、二度目の狼煙を上げる事となる。 暗殺を狙うアーチャーのマスター。それとは別に存在感を放つアーチャー。 作戦通りに事が運んでいるように見えた。宝具となる火縄銃を召喚させた彼が狙うのは、ランサーのマスター、ランサー、更に――自らのマスター。 躊躇いなく、敵を殲滅するが為に、唯我独尊を銃と化し放つ―――――― +7日目 罪なき世界を 68-74 エスカトス、今回召喚されたイレギュラークラスのマスター、室津徹。情報収集、他の陣営との遭遇を目標に行動していた彼は、ラル・フラッテンに遭遇する。 彼が求めていたものは平和――自らの過去を思い出した徹は、その言葉に心を動かされる。 +生存確認票 サーヴァント セイバー アーチャー ランサー キャスター アサシン バーサーカー エスカトス ルーラー ライダー ファンタズム 1日目 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【】 【】 2日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 3日目 【】 【バーサーカーvsルーラー戦を観戦。】 【】 【】 【】 【ルーラーと交戦。】 【】 【バーサーカーと交戦。】 【】 【】 4日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 5日目 【】 【ランサー陣営と同盟交渉→決裂。港にてランサー陣営と交戦。同時に自身のマスターである雪城ランをも攻撃対象に設定。敗北し、重症を負う。マスターから離反し、単独行動を開始。】 【アーチャー陣営と同盟交渉→決裂。港にてアーチャー陣営と交戦。これに勝利。】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 6日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 7日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【(おそらく)ラル・フラッテンと遭遇。】 【】 【】 【】 マスター ラル・フラッテン 雪城ラン 藤下一史 秋月三月 鹿島天都 劉暁ニ 室津徹 弥益 うてな シンシア・ゴールド・ライバック ??? 1日目 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【召喚】 【】 【】 2日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 3日目 【】 【バーサーカーvsルーラー戦を観戦。】 【】 【】 【】 【自身のサーヴァントバーサーカーがルーラーと交戦。】 【】 【自身のサーヴァントルーラーがバーサーカーと交戦。】 【】 【】 4日目 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 5日目 【】 【ランサー陣営と交渉→決裂。ランサー陣営と交戦。自身のサーヴァント・アーチャーに攻撃対象に設定される。敗北し、重症を負う。】 【アーチャー陣営と交渉→決裂。アーチャー陣営と交戦し、これに勝利。】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 6日目 【】 【自宅にて療養。】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 7日目 【室津徹と遭遇。】 【】 【】 【】 【】 【】 【ラル・フラッテンと遭遇。】 【】 【】 【】 備考 セイバーとアサシン陣営が何らかの形で接触している可能性が高い。 キャスターとアサシン陣営が何らかの形で接触している可能性が高い。
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東京都北区にある警察署。 本来は、事件が発生した葛飾区の警察署に向かうべきだろうが、露出狂・松野カラ松は近所の方に移動していた。 事情聴取は手短に行われて、牢へ案内されたきりである。 案外、呆気ない聴取に感じられたが、警察は露出狂よりも刺青男の方に意識を集中させたいのだ。 一応、キチンと順を追って説明していけば、警察の方も簡易的だが、カラ松の話を聞いてくれる。 故意に全裸で出向いた訳ではなく。改造車の暴走によって巻き起こった事故。 カラ松は対面できないものの。 デカパン博士による改造車のメンテナンス不備によるものだと、兄弟達が熱く主張してくれたお陰もある。 (おそ松兄弟達としては、身内に犯罪者が出るのを避けたい一心による援護なのだが) カラ松は、改めて兄弟の無事と有難さに感動を抱いていた。 しかし、カラ松の恰好は情けないままだ。 流石に警察の方から服を一式貸し出して貰える。 カラ松のサーヴァント・アサシン(明)のコートも一旦押収されてしまったが。 まぁ……サーヴァントの衣服なので、後で回収は簡単だろう。 社会的に終わりのような光景だが、牢屋の中にいれば他の主従に捕捉や。 刺青男たちとも邂逅は果たせないだろう。だが……カラ松ガールこと二宮飛鳥とその燕尾服のアサシンには 非常に申し訳なく感じる。折角彼らのお陰で一度は警察から逃れたと云うのに…… そこで一息ついたカラ松に、念話が聞こえた。 『マスター。事情は燕尾服のアサシンから聞いている』 (うおっ!? あ、アサシン……そうか。つまり、カラ松ガールが教えてくれたのか) 『……良い知らせと悪い知らせ、どっちから話した方がいい?』 まるで良くできた映画やドラマのワンシーンのような台詞だ。 カラ松は、リアクションを大きく顔に出さず、牢を監視する警察官を様子見しつつ。 何とか平静に受け答えする。 (そ……そうだな。良い知らせから頼む) 『まず、俺と燕尾服のアサシン……他にもランサーが一時的に共闘したお陰もあって、キャスターを一騎倒した。 さらに加えるなら、セイバーも一騎倒れた………』 (で、でかしたぞ! アサシン!! 流石はマイ・サーヴァント……) 『……次に、悪い知らせだが』 (ちょっ、ストーーーーップ! Hey、アサシン! 少しは勝利の余韻を残すべきだろう!) 相変わらずのカラ松の様子に明は呆れをしたが、同時に少し安堵もしていた。 事実上、偽りの社会とはいえ警察に逮捕され、家も失い、途方に暮れ。精神的に追い詰められた筈。 どこかしら、カラ松の精神が強いのか。 あるいは――偽りであれ兄弟たちのお陰もあってだろう。 けれども。残酷な事実を明は伝えなければならない。 (………マスター……!?) 『あァ。だが、サーヴァントのセイバーは……いない。燕尾服のアサシンが倒した。 さっき倒れた「セイバー」というのが、トド松のセイバーだ』 まさか。 否、そういう可能性は高かった。 トド松から漂っていたクソ松臭に間違いはなかったのが証明されたが、カラ松はしばし呆然とし。 (待て。アサシン……その、あれだ。経緯を教えて欲しいんだが。 燕尾服のアサシンは、トッティとは会ったのか? 俺と顔が似ているし、兄弟だと思わない訳が無い) 『分かってはいた。それを踏まえた上で、セイバーと同盟を交渉したが 決裂したと燕尾服のアサシンは言う。………だから殺した。とな………』 (……い、いや………その………なんだ………) カラ松は何と反論すればいいのか、答えが見つからない。 ただ。全然納得が出来ない。しろというのが難しい話だろう。 もう少し、話し合って……カラ松の存在を仄めかして、どうにか同盟に持ち込めればまだ…… だが――過ぎ去った事象でしかない。 カラ松の態度に、明は続けた。 『それでいい』 (どういう意味だ?) 『俺も燕尾服のアサシンは信用しちゃいない。お前も完全に信用せず、そのままで居てくれ』 (……OK。アサシンの意思と俺のガイヤが共鳴したなら、間違いはない) 痛々しいカラ松の去勢だが、明と思いが一致したならそれは悪くない。 不思議と奇妙な部分でしっかりするカラ松に対し、明は続ける。 『まず、今の内に燕尾服のアサシンと対抗できるサーヴァントと同盟をしたい』 (ナイスアイディアだが、それこそノープラン……だろ?) 『……一応アテはある』 (す、凄ェ!! 仕事が早いぞ、アサシン!) 『最終的な決断はマスター。お前に任せる。勿論、お前が駄目だと拒否すれば、そいつと同盟はしない』 カラ松も、トド松のサーヴァント・セイバーに手をかけた燕尾服のアサシンに思うところがある。 燕尾服のアサシン。彼の能力を把握しているからこそ、脅威だとカラ松自身理解していた。 故に。 明の提案には是非とも乗りたい場面だった。 (――で? 同盟相手は、どのようなカラ松ガールズだ?) 『刺青男――と、行動している人喰いのバーサーカーだ』 カラ松はキザ顔を浮かべたまま、卒倒しそうになった。 ○ 東京都千代田区。とある警察署。 そこはテロに関与されていると思しき人物・松野トド松が、事情聴取を受けている場所であった。 聖杯戦争のマスターという肩書に置いては、確かに刺青男とは無関係ではない。 しかし、刺青男とトド松は同盟を組んでいないどころか。出会ってすらいないのだ。 大体……流石のトド松も、聴取する警察に反論するのだ。 「確かに、僕はセイバーちゃんとは知り合いです! でも、あんな女の子が殺人とか爆発だとか……そんな事すると思ってるんですか!? 常識的に考えて見て下さいよ! 皆さん、本当に警察の方なんですよね!? 根拠のない目撃情報だけで勝手に決め付けないで欲しいです! そんなんだから冤罪が出て来るんですよ!」 ハタから見れば、トド松の言い分は至極正論である。 確かに、トド松がセイバーと呼ぶ少女はあまりに幼い。テロとは無関係の存在だ。 少年兵(少女兵と称するべきか)などにも当てはまらない。不自然な目撃談なのだ。 セイバーが警視庁内の爆破事件に関与しているのはともかく……松野トド松は重要参考人に変わりない。 「なら……彼女とはどこで知り合った?」 「え、あ、えっと……近所で」 聖杯戦争なんて警察に説明したって信じて貰えない。 だから、トド松も頑なに口を閉ざした。 何より……自分が聖杯戦争のマスターだと知られれば……警察に捕らわれている以上、逃げも隠れもできない。 牢屋の中が安全なんて、間違いである。 助けを求められないし……昼間、トド松がバイト先から逃亡したような真似が繰り返せない。 第一。 世間はトド松をテロリスト扱いだ。何とか無実を晴らしたい。 「じゃあ、コイツらと無関係だってことか?」 「ニュースとかで見かけただけで、知り合いでも何でもないですよ! こ、こんな化物みたいな人達……」 警察が刺青男――アベル――の写真や、人喰いの梟、包帯男のアイザック。 彼らの姿をまじまじと目視してみればトド松は、体を震わせた。 考えれば考えるほど、彼らと共に行動する少女たちが哀れでならない。 皮肉にも、彼らを召喚してしまったが為に、振りまわされ続けている…… 「そのセイバーという少女は、どこへ向かったか心当たりは」 「わ、わかりません……あのままセイバーちゃんから引き離されてしまったので……むしろ探して欲しいくらいです」 トド松の受け答えに、やれやれといった態度の警察。 当然だ。 世間にはトド松はテロリストの一味という認識なのだ。誤認逮捕であれば、問題となる。 半ば強引に、虚偽の供述でも構わないからトド松に自白をさせるべきだと彼らは判断を下す。 このままでは、トド松が話すのは時間の問題だろう。 聖杯戦争について。 しかしながら、精神困憊の状態で吐きだしたトド松の証言を、後後語る神原駿河同様、鼻先で笑われるとは。 この時点でトド松は知るよしもないのだった。 彼は本心よりセイバーを心配している。 故に、彼女の行方を探したいだけなのに……どうしてこんな風に。 そのトド松の聴取を超人的な聴覚により盗聴していた男が一人。 先ほど、不審者として確保されていた平坂黄泉。 警察署の外から、事件のネタを集りに現れたマスコミに紛れて、彼はそこに存在していたものの。 覆面として被っていた紙袋を装備していない状態の為、逆に怪しまれる事がなかった。 「……ふむ」 聴取の内容。 そして、警察が尋問を続け、強引に自白をさせてしまおうとトド松の知らぬ場所で語っているのを聞いて。 正義である警察が、悪になった瞬間に平坂は酷く失望する。 無論。 トド松を悪ではないかと疑ってしまった平坂自身、責任を感じていた。 恐らく、トド松はセイバーに騙されていた。それが平坂の見解。 正解か否かはともかく。トド松は、ハッキリとセイバーを信用している。 あの現場でも、彼の態度に変わりは無かった。ならば……倒すべき悪はセイバー、ただ人い。 早速、平坂は行動を開始したいのだが、彼は先ほどからある存在の捜索を続けている。 幼女だ。 正確には、平坂のサーヴァントであるライダー。 彼女は魔力が回復するまで霊体化を続けているが、実は平坂の傍らに居る。 けれどもそれを知らない。平坂黄泉は、聖杯戦争を未だに把握出来ていないのだ。 幼女を守るべく、平坂は影ながら正義の味方として行動を続けている一方。 警察に一度捕まり、何故か警視庁内で気絶した(幼女がSCP-682を召喚した魔力消費によるもの)後。 どういう訳か、幼女がセイバーの前に現れ……戦った? 「おい! 待ってくれ……!!」 「ん?」 幼女の捜索を続ける為、移動していた平坂に何者かが声をかけてきた。 どこか声色は機械的で――足音も金属めいた……? もしや。平坂は一つ心当たりがあった。それは警察が口にしていた肢体が義肢である男。 テロリストの一味として、平坂の記憶にある。きっと相手はそれでは……!? 「私としたことが! お前は刺青男の仲間!!」 「ちょっ! 少し話を聞いて――――」 「私は正義のため、悪を倒す! とう!!」 平坂は生身で攻撃をしてきた。しかも―――サーヴァント相手に。 彼に話しかけてきたのは、マスターを失ったアーチャー・ロボひろしだった。 マスターの方が、サーヴァントのひろしに戦いを挑むのは想定外にもほどがある。 規格外の能力を持ったマスターなのか?! ひろしは、警戒しながら平坂の蹴りを簡単に避けた後。よいしょ、とのかけ声に合わせ平坂を捉えた。 呆気ないにもほどがある。明らかに可笑しいとひろしは思う。 一方の平坂は、酷く項垂れていた。 「ま……負けた。私は悪になったというのか………」 「お、おいおい……別に俺は戦いを挑んじゃいないだろ」 「しかし、あの刺青男の一味では」 「見てわかんねぇのかよ。ニュースにも取り上げられてねえだろ、俺は。それに、お前……サーヴァントはどうした?」 登場をしないサーヴァントに疑念を抱くひろし。 もしや平坂はサーヴァントを失ったマスター? だろうか。 僅かな希望を抱いたひろしへ、平坂は呆気ないほど、それでいて重要な事実を告げた。 「……サーヴァントなるものは存じないが、残念な事に私は『目が見えなくて』ね」 「…………なぁ!?」 ● 意識を取り戻した瞬間、カラ松は念話の中で叫ぶ。 (無理だ! 無理無理!! 何を考えている、アサシィィン!!) 『分かった。無理なら諦める』 (うっ……後気味悪い返事をしてくれるな。一体どういう気の迷いで、そんな相手と同盟を…… というか。つまり、刺青男と同盟を組む……そうじゃないのか[どっちも真っ平御免だが]) 『あくまで「人喰い」の方だけだ。理由はある。 一つはアサシンの能力が精神操作の類と分かった以上、対抗できる能力の例として「精神汚染」があげられる』 (せ……精神……あー、何となく察したぜ。頭がおかしい奴だろう?) 『……まァ、そんなところだ。俺も噂程度に奴ら(刺青男たち)の情報を仕入れていたが 「人喰い」は喋れたが、何を喋っているかは理解不能だったらしい』 (……あ、ああ? 待て、アサシン。喋れるなら、その、なんだ。狂人じゃなくないか??) 『「精神汚染」を持つ奴は喋れるが意思疎通は難しい……微妙だがそんな違いだ。それに、喋れるなら交渉の余地がある』 何より。 明が重要視しているのは『相性』である。 もう一つの理由。明が持つ宝具『丸太』と人喰いの梟の相性は良い点。優位に立ちまわれるのだ。 人喰いの梟は、明が戦いを繰り広げた吸血種ではないが。 性質は似通っている。『丸太』が通用する相手だと、明は察していた。 明も、一時的に吸血種と共闘をする場面が幾つもあったのだ。別に、梟相手で怯む事は無い。 即ち――倒す前提の同盟だ。 説明を聞いたカラ松ではあったが、悩む。当然だ。 恐らく、上手く交渉が成立するとは思えない。何より刺青男や他の仲間も居る中で? (刺青男はどうする?) 『何とか撒くか……少なくとも、奴は同盟なんて交渉に応じる相手じゃねェ』 それは人喰いの梟も同じだろう。 カラ松が反論したい思いを胸に収めて、刺青男をどうするかは差し引いて。 明が、梟との交渉に成功するかを考えた。 本人は自信があって、この同盟を提案しているのだろう。ならば、後はカラ松次第。 (……少し考えさせてくれ) 『あァ、なるべく早めに決断してくれ』 思案するカラ松の一方。 明は、トド松の様子を伺いに千代田区の警察署へ足を運んでいる。 事情聴取は今なお続けられている。いくらサーヴァントを失ったマスターとはいえ、どうにか話を持ちかけたいが。 警察を強引に気絶させるのは、止めた方が良いか…… まだ……この事を、伝えるべきじゃない。 カラ松の精神状態を見て、明は一旦トド松が「テロリストの一味」として逮捕された事実を伏せる。 わいせつ罪で聴取する警察も、カラ松にその件を伝えないだろう。 しかし、いつかは伝えなくては。 彼らは切っても切れぬ、兄弟の絆があるのだから…… 【三日目/夜間/北区 警察署】 【松野カラ松@おそ松さん】 [状態]魔力消費(小)、精神疲労(大) [令呪]残り3画 [装備]警察が容易してくれた簡易的な服 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:元の世界に戻る。 0:同盟に関しては……? 1:トド松がマスターだった事に動揺。 2:アサシン(曲識)に不信感。 [備考] 聖杯戦争の事を正確に把握しています。 バーサーカー(アベル)の存在を確認していますが、絶対に関わりたくないと思っています。 神隠しの物語に感染していません。 デカパン博士から『カラ松 A GO GO !』と共に外に走って行った姿を目撃されています。 Twitterで裸姿が晒されています。 二宮飛鳥&アサシンと同盟を結びました。 二宮飛鳥の連絡先を把握しました。 ランサー(ブリュンヒルデ)を確認しました。 自宅はアヴェンジャーによる火災で全焼したと思われます。 おそ松一行がカラ松と容姿が似ている為、葛飾区にて誤認確保されました。 現在、北区にある警察署の檻におります。 警察の監視下におかれている為、カラ松に異常が発生すれば即座に分かるでしょう。 飛鳥からの伝言とトド松がマスターであることを把握しました。 アサシン(曲識)をなるべく信用しないよう心がけます。 アサシン(宮本明)のコートなど所持品は警察に押収されました。 飛鳥の連絡先は記憶してあります。 【三日目/夜間/千代田区 警察署】 【松野トド松@おそ松さん】 [状態]魔力消費(大)、精神的疲労(大)、サーヴァント消失 [令呪]残り2画 [装備] [道具] [所持金]バイトをしているので割とある [思考・状況] 基本行動方針:??? 0:どうにか無実を証明したい。 1:セイバー(フランドール)が心配。 2:兄さんたちは……… [備考] 聖杯戦争を把握しておりますが、令呪やNPCについての詳細は知りません。 通達も大雑把ですが把握しております。(先導アイチやアヴェンジャーのことは知りません) どことなくNPCには違和感を持っています。 噂話程度に刺青男(アベル)のことは把握しておりますが、サーヴァントとは疑っておりません。 フード男(オウル)と誘拐された少女(沙子)を把握しました。 カナエとランサー(ヴラド)の主従を把握しました。 キャスター(ヨマ)のステータスを把握しました。 アルバイト先の『スタバァコーヒー』が襲撃され、営業停止となった為、実質職を失いました。 カラ松の事件を把握しました。 テロリストの容疑者及びバーサーカー(アベル)の共犯者として報道されております。 自宅はアヴェンジャーによる火災で全焼したと思われます。 セイバー(フランドール)が死亡したのを把握しておりません。 千代田区内の警察署で事情聴取を受けます。後に聖杯戦争の件を自白しますが、警察には戯言として聞き流されます。 【アサシン(宮本明)@彼岸島】 [状態]霊体化、肉体ダメージ(中)、魔力消費(小) [装備]無銘の刀 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を獲る。 0:トド松の件は、まだカラ松には伝えない。 1:トド松と接触する。 2:燕尾服のアサシン(曲識)への疑心。 3:神隠しの少女をどうするべきか…… 4:人喰い(梟)に対アサシン(曲識)の為、同盟を持ちかける? [備考] バーサーカー(アベル)の存在は把握、危険視しております。 神隠しの物語に感染しました。 二宮飛鳥&アサシンと同盟を結びました。 コートをマスター(松野カラ松)に貸しました。 ランサー(ヴラド)の存在を把握しました。 神隠しの少女(あやめ)が攻撃的ではないと判断しております。 松野家がアヴェンジャーによる火災で全焼した把握しました。 ○ アーチャー・ひろしの説明は非常に苦労するものだった。 平坂黄泉が盲目である為、聖杯戦争という状況を把握しきっていない事。マスターやサーヴァント。 ステータスすら視認できぬ状態だから、仕方ないとは言え……聖杯戦争の知識を与えられぬ。 という、この聖杯戦争においてのルールでは非常に厄介である。 一通り説明を終え、平坂のサーヴァント……と思しき幼女だったが、ここには居なかった。 が。 空気を読んだのだろうか。一度だけ、霊体化を解いてひろしの前に現れる幼女。 軽く会釈し終えた後。 幼女は、直ぐ様に霊体化した事から。魔力や体力の回復に専念していると察せられた。 「それで……あの子(幼女)は何か願いは喋っていねえんだな?」 「私には何も。彼女は十分満足しているように感じられるよ」 確かに。 ひろしは息子や娘であった『しんのすけ』や『ひまわり』を彷彿させる幼いサーヴァントに 敵意を感じなかったし、願いに固執した様子も感じられない。 そもそも、一体どうしてサーヴァントとして召喚されたのかすら、理解が困難を極めるほどだ。 しかしながら。 ひろしも平坂も、幼女の真の恐ろしさを体験してない故の油断なのだ。 幼女の能力を把握すれば、考えは一新する。 「なら、俺はアダムの……俺のマスターの願いを叶えたいんだ。聖杯を刺青男たちの手に渡さない為にも」 「勿論! アーチャーも私と同じく正義を志す『同士』だ。協力しようではないか!!」 「ははは。正義のヒーローって奴か」 満更でもない様子で、平坂の熱意に答えるひろし。 どういう形であれ、味方が増えたのは心強い。価値観に歪みがあれども、平坂の根っこは『善人』なのに変わりない。 ならば。 平坂は生き生きとアーチャーに尋ねる。 「早速、悪を倒しに……あぁ、そういう訳にもいかない。アーチャー、まずは『悪』からマスターを救わなくては」 「なんだ? 他の主従に心辺りがあるのか!」 「一人は『悪質な噂』を意図的に広めるマスター……もう一人は、あそこにいるマスターだ」 平坂が指差す警察署に、ひろしも心当たりを覚えた。 松野トド松。 刺青男・テロリストの一味として報道された人物……警察庁の爆破事件に関与しているらしい。 無論、ひろしはその噂を頼りにここ(千代田区)へ足を運んだ一人である。 平坂の証言によれば、トド松は無実の罪を着せられようと尋問に追い込まれている最中のようだ。 警察は聖杯戦争とは無関係であろう。 トド松を社会的に抹殺したところで、それこそ聖杯戦争では無意味な事象に過ぎず。 無意味の塊だ。 だが、警察は自らの利益の為。不祥事を始末する為だけに、トド松を犯人に仕立てあげようとする。 許し難い話に違いない。ひろしは一つ、平坂に聞いた。 「トド松のサーヴァントはどうなったんだ?」 「恐らく、セイバーと呼ぶ少女が彼のサーヴァントだ。私も形としては出会ったが……彼女を倒そうとし 気絶をしてしまってね。セイバーに敗北した私は悪であった……」 「気にすんなよ。正義の味方だって負ける事はあるだろ? だったら、何度でも立ち上がるってのが定石じゃねえか」 「あ、アーチャー……!」 感動する平坂は、改めて話を続ける。 「……詳しい経緯が分からないのだよ。あの様子通りならば、彼はセイバーを見失ってしまったようだ」 「見失った、か……念話で連絡も取れないなら、消滅した可能性もありえるな………」 もし、トド松がサーヴァントを失ったマスターであれば、再契約出来る相手では? まだ断定するには情報が少ない。 何より、警察の聴取は終わる気配もない。 「まずは面と向かい合って話し合いてえところだ……」 「アーチャー! 彼は悪にさせられようとしている! 正義として見過ごす訳にはいかない!!」 「落ち着けって。そのトド松てのが聖杯戦争をどうするか、まだ分からねえだろ」 「それは……確かに」 トド松が刺青男同じく悪意のあるマスターでないとは断言できない。 ひろしとしては、トド松がサーヴァントを失って居れば再契約したいのだが。 彼の本性次第では契約をしないつもりだ。 どこか歪な彼らの根本は変化しない。正義の為、正しい願いを、悪から守り抜く為に戦う人間なのだ。 【三日目/夜間/千代田区】 【平坂黄泉@未来日記】 [状態]肉体疲労(小)、魔力消費(中) [令呪]残り3画 [装備] [道具] [所持金]貧困 [思考・状況] 基本行動方針:正義を為す 1:トド松を救出したいが、果たして彼は悪なのか? 2:『東京』で暴れまわる殺人鬼(アベル)を倒す。 3:先ほどの人物(ホット・パンツ)から事情を聞きたいが…… 4:カナエを倒す。 [備考] 聖杯戦争を把握しました。 強力な催眠術を使う者がいると把握しました。それがライダー(幼女)とは思っておりません。 バーサーカー(アベル)によって拡散されたアサシン(カイン)の情報を得ました。 カナエの独り言から断片的な情報を入手しました。 神隠しの物語に感染しました。 カナエを悪と断定しました。また聴覚に優れた経験からかカナエが女性であると把握しております。 セイバー(フランドール)を悪と断定しております。 トド松の聴取内容を聞き取れています。 アーチャー(ひろし)の存在を把握しました。 【ライダー(SCP-053)@SCP Foundation】 [状態]霊体化、魔力消費(中) [装備] [道具]絵[アサシン(アイザック)とメアリーを描いたもの] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:遊ぶ 1:マスター(平坂)と行動する。 2:魔力と傷が回復するまでは実体化しない。 [備考] 神隠しの物語に感染しました。 アサシン(アイザック)とメアリーの主従を把握しております。 ランサー(アクア)とホット・パンツの主従を把握しております。 キャスター(ヨマ)の存在を把握しました。 セイバー(ナイブズ)とあやめの存在を把握しました。 トド松とセイバー(フランドール)を把握しております。 アーチャー(ひろし)の存在を把握しました。 【アーチャー(ロボひろし)@クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん】 [状態]魔力消費(中)、ダメージ(中) 、マスター消失 令呪【見つけ次第、ルーシー・スティールを殺害しろ】 [装備] [道具] [所持金] [思考、状況] 基本行動方針 聖杯でアダムを願いを叶える 0:トド松と接触し、彼の方針次第では救出したい。 1:アダム…… 2:ルーシーを家族のところに帰してやりたいが…… 3:バーサーカー(アベル)やセイバー(ナイブズ)に聖杯は渡さない。 4:サーヴァントを失ったマスターの捜索。 [備考] セイバーのステータスを把握しました。 ダメージは燃料補給した後。魔力で回復できます。 SCP-076-1についての知識を得ました。 ルーシーがバーサーカー(アベル)のマスターであると把握しました。またルーシーの携帯電話番号を知りました。 財団について最低限ですが知識を得ました。 勇路がマスターであると把握しました。 ブライト主従を確認しました。また危険な主従として認識しております。 平坂黄泉とライダー(幼女)の主従を把握しました。 ● 東京都葛飾区にある少女の部屋。 薄暗い部屋の中。少女のサーヴァントである燕尾服を着こなすアサシン・零崎曲識が、ノートパソコンで情報を探る。 曲識のマスター、二宮飛鳥。 彼女が口にした通り刺青男は『アベル』の名前で、何故か称されている。 人喰いの名前や包帯男の名前も浮上しているかと思えば、そのような事は無い。 アベル…… 仮にアレが聖書に登場する彼の『アベル』ならば、その能力や宝具は何なんだろうか? アベルではなく『カイン』の方がその予想が可能だが。 曲識は唸る。 少なくとも近接特化のサーヴァントだ。精神汚染のスキルがあるか不明だが……バーサーカーならば意思疎通は困難か? いや。 ひょっとすれば神原駿河や他の仲間たちが『アベル』の名前を聞き出したとすれば、会話は可能な筈。 何より、三騎相手だと能力や宝具次第では曲識も立ち回りにくい。 正直……コートのアサシン(明)を呼び出すのが手だ。 しかしながら、曲識もとい飛鳥はアベルと戦おうとしているのではない。 彼女はとにかくアベルと会うのを目的とし。 コートのアサシン(明)と合流する必要はないとハッキリ断言していた。 ―――だからといって、同盟を組む。訳でもないらしい。 曲識が目を通した情報は『少女』だ。 『桐敷沙子』と『メアリー』。皮肉にも少女趣味に相応しい生贄が差し出されているのに、曲識は一息つく。 難しい話であろう。 尤もそれは、神隠しの少女を殺害を達成させるよりかは楽かもしれないが。 彼女たちのサーヴァントの能力が不明だ。 明らかに、人喰いのバーサーカーと思しき存在は、精神に異常を来している部類であろう。 精神干渉が効かない相手であれば、即座に食い殺されそうだ。 狙うなら『メアリー』の方か……… すると。 曲識のマスター・飛鳥がパチリと目を覚ます。 ノートパソコンの明かりで起きてしまったのだろうか、属に言う興奮状態で眠れなかったのか。 否。 時刻を確認してみれば、深夜0時を回りそうな時刻だ。 曲識も時間を忘れていたようだ。それほどまでに『東京』は静寂に満ち溢れている。 あるいは、刺青男は誰かに倒されてしまったかも? 曲識は、起床した飛鳥に対し話しかける。 「マスター。悪くない時間だ。丁度、僕も起こそうとしたところだ」 「……あぁ………今のところ様子はどうだい?」 「僕なりに調べているが『アベル』に動きは見られないようだ。しかし――悪くない。 無暗に動かれる前に、僕たちが彼を追跡する猶予が与えられたんだ」 仮眠を取ったとはいえ、飛鳥にも眠気がある。 ボーっとした様子で窓の方を眺め、突如立ち上がった。 幻想的な光景を確かめる為、飛鳥は窓を開ければ、真冬のような冷気が室内に侵入する。 空気と共に。空から降り注ぐ白い粉も飛鳥の頬や髪へ幾つかこびりついた。 家族には聞こえぬよう、小さな――それでいて驚愕に満ちた声を漏らす。 「アサシン……! ご覧。雪だ、雪が降っている!」 「雪? それは奇妙だ……今の季節は春。入学シーズン真っ盛りじゃないか。季節外れの雪。あるいは」 「サーヴァントの仕業、かな? 何にせよ胸が高鳴る。聖杯戦争なんだ、こうでなくてはね」 曲識も、どこか子供っぽく現実離れした四月の雪に歓喜する飛鳥の傍ら、外の景色を眺めた。 シャレにならない勢いで雪は降り続く。 このペースだったら、最悪今朝には積っている箇所が見られるだろう。 充電を終えた携帯電話を手に、飛鳥は準備を整える。 二宮飛鳥の聖杯戦争なるステージが、開演した。 ◆ 勇敢なる蛮人である君へ。 ボクのようなちっぽけな少女の相手なんてしたくはないのだろうね。 だけど、ボクは知りたい。皆が知りたがっている。 君が決して無為に生きていないのならば、教えて欲しい。答えて欲しい。 そして、ボクはそれを伝えたい。 意味が無くたっていい。 意味を求める必要は無い。 君の本心を知ったところで、誰が何かしようとも。君は変わらないから。 ボクも何も変わらない。ボクが求める道は一つだけさ。 だから、伝えて欲しい。 君の言葉を……… 皆に届けよう。 これが――――――ボクらの聖杯戦争なんだ。 ◆ 【三日目/夜間/葛飾区】 【二宮飛鳥@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備]私服 [道具]携帯電話 [所持金]十四歳の少女のポケットマネーとして常識範囲内の金額 (サンダルを購入した分、減っている) [思考・状況] 基本行動方針:生きて帰りたい。そして、聖杯戦争を伝える。 1:バーサーカー(アベル)の捜索。 2:カラ松及び松野家をなるべく支援する。 3:聖杯戦争の生中継をしてみる。 [備考] アサシンが自分の殺人においてルールを課してることは知っていますが、それの内容までは知りません。 葛飾区にある不動中学校に通っています。 『東京』ではアイドルをやっておりません。 神隠しの物語に感染していません。 NPC『一ノ瀬志希』の存在、及び彼女が今後所属する学校を知りました。 松野カラ松&アサシンと同盟を結びました。 ランサー(ブリュンヒルデ)を確認しました。 葛飾区で起きた事件やジークの『変身』を把握しました。 板橋区で発生した火災及びバーサーカー(アベル)に関する情報を入手しました。 バーサーカー(アベル)の真名を把握しましたが、半信半疑です。 【アサシン(零崎曲識)@人間シリーズ】 [状態]健康、殺人衝動(小) [装備]少女趣味(ボルトキープ) [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を獲る。 1:マスターである少女(飛鳥)を殺さないようにする。 2:『神隠しの少女』を笑って死なせてやりたい。 [備考] 神隠しの物語に感染しました。 『神隠し』にサーヴァント、あるいはマスターが関与していると考察しております。 警察に宝具『作曲――零崎曲識(バックグラウンドミュージック)』による肉体操作を行いました。 (それを見ていた一部のNPCは『映画の撮影か何かだった』と思っているようです) 松野カラ松&アサシンと同盟を結びました。 ランサー(ヴラド)の存在を把握しました。 セイバー(フランドール)を殺害した為、殺人衝動がしばらく収まります。 バーサーカー(アベル)の真名を把握しましたが、確証は得ていません。 トド松がマスターであることを把握しましたが、外見で六つ子を区別していない為、間違えるかもしれません。 桐敷沙子とメアリーをマスターとして把握しました。 時系列順 Back Crazy Crazy Crazy Town Next 夜は眠れるかい?(前編) 投下順 Back Crazy Crazy Crazy Town Next until death do them part ←Back Character name Next→ 026 クラレッタのスカートを直せ 松野トド松 040 ショーは続けねばならぬ 027 無物語-ナキモノガタリ- アーチャー(ロボひろし) 026 クラレッタのスカートを直せ 平坂黄泉 ライダー(SCP-053) 二宮飛鳥 033 until death do them part アサシン(零崎曲識) 松野カラ松 040 ショーは続けねばならぬ アサシン(宮本明)
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鹿目まどか&ライダー ◆wd6lXpjSKY 何も理解出来ていなかった。 する気も無かった、今ならこう思うだろう。 気付けば知らない場所に居て周りには見たこともない他人、そして話す男。 天戯弥勒――最後に叫んだ男の声が印象に残る。知り合い……訳有の関係だろうか。 「私……私は」 記憶は在る。それも聖杯戦争に関する知識も何故か頭の中に眠っている。 この少女は聖杯戦争とは無関係であり知りもしない、世界も違えば時代も違う人間だ。 知識だけ手に入っても彼女に行動する起源が生まれる訳でもなく悩むしか無い――そうだろうか? 「私が頑張れば皆を救える……? マミさんと杏子ちゃん、さやかちゃんも……そしてほむらちゃんも……」 交わした約束は必ず叶えるべき事象ではない。 これまで死んでいった魔法少女の未練を無くす義務も彼女、鹿目まどかには存在しない。 他人を殺してまで叶える願いで彼女達は、幾多の魔法少女達は鹿目まどかを受け入れるのだろうか。 人々に不幸を振り撒く存在の一歩手前、これ以上魔法少女関係者が世界を闇に染める必要があるだろうか。 願い。 宇宙からの使者との契約で少女たちは願いと引き換えに魔法少女の力を手に入れた。 その響きは幼いころ多くの子どもたちが憧れた正義の英雄、それが理想。 現実は悍ましい姿である魔女と戦わなければならない、戦わなければ生き残れない状態だ。 彼女達の魂はソウルジェムと呼ばれる宝石に移り変わる――つまり人間ではない。 身体が壊れようが失おうがジェムの輝きがある限り彼女達は死なない、言わばゾンビ。 少女たちは宇宙存命のために人生を歪められ運命のレールから弾き出されてしまったのだ。 「でも人を殺すなんて間違ってる……こんなの絶対おかしいよ……ッ」 「当たり前だろ!!」 誰かを犠牲にする願いに意味など有るのか。 当たり前だ、存在するに決まっている。甘いことを抜かすな。 それでも、それでも、だ。 彼女はそれを否定する。誰もが安心して暮らせる優しい世界を彼女は望む。 彼は否定する。 この世界に窮屈な鎖は必要ない、誰もが自由に生きるのが当たり前だ、と。 鹿目まどかの意見に同調した男、今宵の聖杯戦争ではライダーのクラスを授かった彼女のサーヴァントだ。 麦わら帽子が特徴的な男は胸を張りまどかを後押しする。 「どんな理由でも人を殺す理由にはならないだろ!!」 彼は世間で言う悪だ、それも大罪人である海賊。 死刑囚を一人救うために世界政府に喧嘩を売り、牢獄に侵入もした。 その後処刑場にも乗り込み、彼は死刑囚である兄一人を救うため数々のモノを犠牲にしたのだ。 正義の形に定義など無い。 周りを見てみれば分かるだろう。現実やネットの世界でも正義について語る輩が存在する。 それは本質でもあれば、周りを茶化す言葉でもあり、己に注目を集めたいだけの発言でも在る。 人はそれぞれ己の正義を持っている。海賊であるライダーも根からの悪ではなく正義の心を持っているのだ。 「ライダーは聖杯に何を願う……聞いてもいいですか?」 「ない。俺は海賊王になるけど自分で頑張るから聖杯何ていらねえ」 願いの形だって人それぞれである。 自分の力だけで叶えたい者もいれば、聖杯など因果を変えて叶えたい者も居る。 どれもが正しくて、どれもが誤っている。絶対的な正解なんて存在しないのだ。 彼は一度言った。 『この海で一番自由な奴が海賊王』ならば彼は今宵の聖杯戦争に置いても自分の信念に基づき行動するだろう。 マスターと共にこの戦いを彼らしく生き残る――何も間違ってはいない。 戦いを止める行為は真剣に聖杯を求める人間に対して失礼極まり無い行為だ。 彼は止めはしない、戦う時が来れば戦う、それが彼の選択でありマスターの選択でも在る……かもしれない。 「じゃあ飯でも食いにいくか! まどか!!」 腹が減っては戦は出来ぬ。 見通しの良い草原から動き出す提案をしたライダーはそのまま彼女の答えを待たずに歩き出した。 ライダーは鹿目まどかが悩んでいる事を見抜いていた、いや誰でも分かる。 彼女は叶えたい願いは在る、だが他人を殺す勇気も人殺しの業を背負う覚悟も持ち合わせていない。 巻き込まれた存在ではあるが彼女もまた、無関係ではなく願いのために悩んでいた。 それを感じたライダーはマスターである鹿目まどかを気遣い出来るだけ笑顔にさせる。 「ありがとう……」 俯きながら小声で礼を述べると彼女もライダーの後を続くように歩き出す。 心が楽になった訳ではない、だが今だけは笑顔でいたい。 幕を開けられた聖杯戦争。 集められた役者は色も違えば筆も違う。 彼彼女らが演じる今宵の舞台に台本など存在する筈も無く筋書きは想定不可能。 最後に笑う存在も不明、解る事を述べるとすれば希望など存在しない――これだけだ。 【マスター】鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ 【参加時期】不明。少なくとも杏子とさやか死亡以降。 【マスターとしての願い】不明。悩んでいる様子 【weapon】なし 【能力・技能】 最強の魔法少女になれる素質は持っているが現段階では普通の少女である。 また、一般人よりも魔力の量は大きいようである。 【人物背景】 普通の女子中学生であった鹿目まどかの運命は転校生である暁美ほむらとの出会いにより大きく変動する。 いや、彼女の知らない所で運命は既に大きく動いていた。 【方針】 悩んでいる。他人は殺したくない。 【クラス】 ライダー 【真名】 モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE 【パラメータ】 筋力B+ 耐久B+ 敏捷C+ 魔力E 幸運E 宝具C+ 【属性】 秩序・善 【クラス別スキル】 騎乗:D 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。 対魔力:E 魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。 【保有スキル】 悪魔の実の能力者:A 悪魔の実を食べたことにより異能の力を手に入れた者に与えられるスキル、彼はゴムゴムの実。 身体がゴムのようになる力を手に入れているため打撃や雷撃に対して驚異的な耐性が在る。 能力者は全員泳げない特性を持っており、海に由来する宝具や力の前には弱くなってしまう。 覇王色の覇気:EX 数百万人に一人しか身につけることができない、特殊な覇気。天性的な物である。 圧倒的な実力の差が存在する相手は戦うこと無く気絶してしまう。 この覇気は王の素質を持つ者にしか訪れないとされておりカリスマ:Dも兼ね備える。 またランクC相当の戦闘続行、勇猛、直感スキルも兼ね持つ。 【宝具】 『ギアセカンド』 ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 両足をポンプのように使用し血流を加速させるドーピング。 発動すると身体から蒸気が吹き出す。普段よりも素早く動けるようになる。 『ギアサード』 ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 骨を膨らませ体の一部を巨大化させる宝具。 巨大化した圧倒的な力で相手を殲滅させる。 また、体積の増加によりギアセカンドとは異なり速度は大きく落ちることになる。 『旅の欠片こそが財宝(麦わら海賊団)』 ランク:C+ 種別:対軍宝具 レンジ:―― 最大補足:―― 生前海賊であった彼とその仲間たちの航海や冒険、生き様を心情風景とし一味で展開させる固有結界。 発動者の後方に大きな海を展開させ、仲間である麦わらの一味と海賊船を召喚する。 ライダーは魔術師はないが一味全員で術を展開することにより固有結果の発動を可能にしている。 また、マスターである鹿目まどかの魔力量もあるためある程度大雑把に展開できる。 【weapon】ゴムゴムの実を用いた戦法。 【人物背景】 ttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%BBD%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A3 【サーヴァントとしての願い】 マスターに全てを捧げる。 【基本戦術、方針、運用法】 マスターのために戦う。 BACK NEXT 007 朽木ルキア&ランサー 投下順 009 虹村形兆&ライダー 007 朽木ルキア&ランサー 時系列順 009 虹村形兆&ライダー BACK 登場キャラ NEXT 参戦 鹿目まどか&ライダー(モンキー・D・ルフィ) 018 ゴムと反射と悪党と
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このシステムについて ●目的 第四次、第五次のような聖杯戦争を行う ●基本勝利条件 他陣営のサーヴァントを全て倒す 交流とかロマンスとかは二の次のPvPシステムです。 マスターとサーヴァントの間にのみ、交流を推奨するシステム【絆】を採用。 他陣営との同盟や裏切りを図りつつ、同陣営内でも裏切りが可能となっております。 基本的にCoCをやっている人間が調整しているので数値面がガバガバです。悪しからず。
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みみぴい@らぶか:聖杯戦争から数か月。 残りの時間を勉強に費やした。隣に居るのが先輩ではなく聖杯戦争で知り合った汚いおっさんというのが心に刺さる。 それもこれもアーチャーが敗北したせいだ。受験勉強の発散混じりにぶっ飛ばしたいがかなわないだろう 娘が何をしていたかなど知る由もない母親はのんきに茶菓子など手土産に持たせたりする それからまあ、『身の丈にあった大学』というやつに合格した 先輩の大学となるべく近い区域の場所を選んだつもりだ。 通り道で会えればラッキーだが未だ顔を合わせたことがない。 入学した大学の図書館は本が豊富でそれが唯一救いか。 高校の時のように魔術書なんか混ざっていないだろうか そう思って古書を見つけては手に取っている。サークルにもこれといって置いてありそうな場所がない そうだ。オカ研サークルを設立しよう 私と同じオカルト好きが集まればチャンスはめぐってくるはずだ。 きっかけとなったあの本も運命的にオカ研の神棚に置かれてあったのだから可能性はゼロじゃない。 そして参加権を手に入れた暁にもう一度参加するのだ あの聖杯戦争に。今度こそ 先輩、まっててくださいね!!みみぴい@らぶか:らぶかエンディング GOOD?END零史@有栖:キャスター陣営 BADEND零史@有栖:あの時……先生の宝具は、実は私にも被害を及ぼす無差別攻撃だ。 当然私にも地獄が降りかかった。 悠久の生物史、延いては地球46億年の記憶を遡り、戦争、殺戮、生存競争、自然淘汰、遍く生命の醜さ。 この世で生きる事の地獄がこの頭にあるというのなら、それを壊すのは当然だ。 それに、視覚的ダメージもある種奴らに入るだろう。 では、お先にこんな地獄の世界を旅立つとしよう。 ——呪い、ここに成立す。零史@有栖:〆バーサーク雁夜おじさん: バーサーク雁夜おじさん: バーサーク雁夜おじさん: バーサーク雁夜おじさん:「おっすじじい、帰ったぞ」バーサーク雁夜おじさん:「あ? 生きとったのか雁夜。その辺で野垂れ死んでるものかと……で、戦果の程はどうじゃ」バーサーク雁夜おじさん:「おう、聞いて驚け。俺のバーサーカーは達成値95を出して最強のサーヴァントになったんだぜ!」バーサーク雁夜おじさん:「お、おう……??? で、聖杯は?」バーサーク雁夜おじさん:「ないよ。敗退したから」バーサーク雁夜おじさん:「はァ!? 特性の令呪まで持ってっておいて何やってんの!?」バーサーク雁夜おじさん:「ああ、あの令呪はありがたく使わせてもらったよ、ランスロットのクアンタム・バーストにな! 79ダメージ通ったぜ!!!」バーサーク雁夜おじさん:「おま、はァー!!!???」バーサーク雁夜おじさん:「あ、そうそう。後ちょっと土地貸して。尋ねてくるかもしれない子がいるから。死ぬほど余ってんだろ不動産」バーサーク雁夜おじさん:「そう言いつつ既に棚を漁り始めるんじゃあない! 整理してるのわしだから! アー! 書類をぶちまけるなアホ息子!」バーサーク雁夜おじさん:そんなこんな電波の入ったおじさんの聖杯戦争はそこそこ満足する形で終わったのではあるまいか。 後始末? そんなものは知らない。強いて言うなら同盟を組んだ彼女が頼ってきた時のために準備しておくくらいである。 雁夜おじさんとランスロットの聖杯最強伝説・完。バーサーク雁夜おじさん:@トニー@GM:-御来屋椿 エンディング-トニー@GM:空が青く澄み渡り本日は晴天なりや。 週の巡る事も無く、聖杯を巡る戦は終わりを告げた。 いとしき子犬も星と消え、ぬくもりばかりが空虚に溶ける。トニー@GM:「ほ、本日はお日柄もよく…?否否!違う、先ずは世話に成った事を…」 哀愁とはまた別とし、訪ねたるは間桐様が屋敷であった。 何時でも頼っても良いと申されたが、我が身は天涯孤独なれば。 まして魔術師の家系であり、彼の人は其れ(魔術師といふもの)をあまり良く思ってなかったように思う。トニー@GM:されどされどと頼るる宛が他にある由もなし。 斯うして門前にて、立ち尽くすのであった。 無理矢理舞台装置を発動させた代償に義腕は軋んだ音をたてたが動かぬ訳ではない。トニー@GM:「め、飯炊きでも…雑用であれど下働きであれど何でも従いますゆえどうか…」 物々と呟き、どうすべくかと悩み、ああでもないこうでもないと繰る繰る思考を巡らせる。 頭上にあの無邪気な仔犬とちかちかした星々が回っているような感覚。 けして多くない荷物には揃いだった帽子が積まれている。トニー@GM:ふと想起されるはあの時の言葉。 「そんなに深く考える事も無いんじゃないかな」 ほうと息をついた。繰る繰る詰まった思考が晴れていくようだった。 然うだ、此処で立ち尽くしている事では事態は動いてはくれぬ。トニー@GM:一先ず門を叩き、それから、また考えて——— 「あれ、御来屋さん?」 ———背後から声がかけられて、思わず身体を大きく揺らす。 観れば御本人が首を傾げて立っている。流石に不意打ちであった。 かああと顔に熱が集まり深く考えるどころか思考自体が再度停止する。トニー@GM:「つ、つ、つ————!!!」 月が綺麗ですね。と、沸騰する頭のままに口に出した。 本日は晴天なりや、お天道様が燦々と輝いておられた。 嗚呼、何と言うか、———遣ってしまった。 何処かで、わひゃんと、間抜けな声で野良犬が鳴いた。トニー@GM:@RE=IN@定晴:結局、聖杯戦争を生き残ったくらいで両親の無関心は変わらなかった。 触媒として持ちだした木刀の欠片について、少し罰を受けた程度。 罰を与える時間も、自分の研究には無駄だと判断されたんだろう。当初は1週間の謹慎と言われていたが、3日目には何も言われなくなった。 そして、柊さんの所へ行くことも同じ。たった一言、「好きにしろ」と言われただけだ。 「……よし、確認完了」 旅の支度を整え、出発の時。持ち物を再確認して、家の敷地を出る。 今頃、両親は地下室で研究をしている所だろう。当然、見送りなんてものはない。 けど、次に会う時は——きっと、「よくやった」と言ってくれる。そう思えば、むしろ今から嬉しいくらいだ。 「……いってきます」 返事はない。だが、それでいい。 さようなら、また会う日まで。RE=IN@定晴:@たかみち@ニノマエ:「…世には向き不向きというものがあるな」 花立てに水を入れながら男はぽつりとつぶやいた。 ——ここ数年、彼には色々とあった。 学生の受験勉強を隣で眺めていたがほぼ全てが記憶から流れ落ち、 これは自身の体質の問題だったらしいがまた別の若者が魔術の鍛錬をしているところに 折悪く居合わせ思わぬところで死線を彷徨った。 あの妙にやりきった顔でいつかの戦場を去った白髪の彼のようにするりと人の輪をつなげることもできないのも改めて実証されたなと、男は一人苦笑いを浮かべた。たかみち@ニノマエ:「俺はやはり戦にしか能がなかったようだ」 男はそれ以降黙々と花を飾り、線香に火をつけ、手でその火を消す。 ——そんな自分を師と呼び、一週間にも満たない戦場を共に駆けた「弟子」のことを彼は思い起こす。 自身の名前負けを気にし、察されてはいたが途中まで自ら名乗りをあげようとしなかった彼の願いを、師としてやはり叶えてやるべきだったろうか。 …いや、彼が最後に見せたあの満足げな笑みが全てだ。万一次に会う事があったとしたら、もう彼の事を気安く弟子とは呼べないだろう。嬉しいような寂しいような、奇妙な感覚を男は覚える。たかみち@ニノマエ:「……」 静かに水をかけ、合掌。たかみち@ニノマエ:「…次はしばらく先になる。先日遺跡調査ついでに叩いた雑魚共の掃討戦だ。場合によっては大捕り物にもなるかもしれん」 短い黙祷を終えた男は立ち上がり、煙草を取り出し火をつけた。たかみち@ニノマエ:——柊聖十郎。戦場で手を組み、男が願いを譲った同盟相手。 非常に頭の切れる男である彼と一時人の域を超えるまでの剣技を持った男は、戦場の時さながらに今も行動を続けまた別の戦争の真っただ中にいる。 悲願の自信の病の完治を果たした彼のやりたい事のひとつであるとある組織の撲滅はいまだ先が長く、男ももう髪にいくつか白いものが見えるようになってきてしまったが、不思議と焦りはない。 渇望し続けた戦。自身を動かす指し手。そして何より、生の実感と喜び。 男が彼に願いを与えたように彼もまた男に多くを齎した。その間柄は戦友と言っても差支えはないだろうが、将と駒で十分と男は結論付けている。たかみち@ニノマエ:「…あぁ、紫苑。俺は今、生きている」たかみち@ニノマエ:丁寧に掃除された墓の花立ての中で、男を送り出すように「思い出」はふわりと風にそよいだ。たかみち@ニノマエ:@柊聖十郎@ゼロサキ:ランサー陣営 エンディング 聖杯戦争から数か月後、日本のとある街。 そこにあるとある屋敷の書斎、壁には一面本が収められ、部屋の真ん中には大きな机がある。 机には大量の書類があり、そこで一人の男が鬼の形相で書類を纏めていた。 柊「えーい!研究書類のまとめが終わらん!何故うちの連中は書類を纏める事が出来んのだ!」 柊「馬鹿弟子に書類のまとめ方でも仕込むか・・・今は邯鄲に落としているし・・・」 柊「ニノマエも少しはそこら辺覚えろというに・・・」 柊「さて、インスマスは調べ終わった。黄泉平坂も行けるところまではいった。次はアーカムだったか。」 その時、胸ポケットの携帯が鳴った。相手は非表示になっていた。 柊「誰だ?下らん用事だったら直ぐに死ね。」 ???「おや酷い。せっかく心配して電話をしてあげたのにその反応ですか?柊さん。」 柊「・・・貴様から連絡が来るとは思わなかった。何の様だ?ハザマ」 ハザマ「いえいえ、無事戦争も終わったのに、こちらに戻る気配がないので連絡してみたんですよ。」 柊「ふん、下らん演技はするな。あの戦争を貴様らは全て見ていたのだろう?なら俺がやろうとしていることも知っているはずだ。」 ハザマ「やっぱり本気でした?私たちと戦争をするの。」 柊「当然だ。貴様らを野放しにしておくと、俺の研究材料が減るだろうが。どうせあの戦争の少し後に街が一つ吹き飛んだのも貴様らだろう?」 ハザマ「正確には、魔王(バカ)があなたの宣戦布告を聞いてテンションを抑えきれず、つい吹き飛ばしたそうですよ?」 柊「あの塵に言っておけ。俺が殺すまで暫く大人しくしろとな。」 ハザマ「無理言わないで下さいよ。あれが言葉一つで止まるわけないでしょう?」 柊「知った事かよ。まぁ暫くは駒を集める作業があるのでな。戦争はしばらく後だ。精々楽しみにしておけ。」 ハザマ「もちろん楽しみにしていますよ?勝とうが負けようが・・・ね?この下らない世界で、精々楽しく遊びましょう?」 柊「この世界は俺のものだ。貴様ら風情が遊ぶには上等すぎるわ阿呆が。」 ハザマ「ふふ、では、今日はこの辺りで・・・あ、そうそう、一ついい情報をあげましょう。」 柊「なんだ?下らん内容なら死ね。」 ハザマ「いえいえ、先ほどの魔王(バカ)がですね?ハイテンションでアーカムに先ほど向かいました。早くしないと、 街が神話生物とバカで吹き飛ぶんじゃないです?ではまた。」ブチ、ツー、ツー、ツー ハザマ「・・・貴様あああああああああああああああ!この屑があああああああああああああああ!」 ハザマ「せっかくの研究材料が放射能に侵された瓦礫の山になる!ふざけるなあああああああああ!」 ハザマ「ニノマエえええええええ!あの馬鹿弟子を邯鄲から引っ張り出せ!すぐにアメリカに行くぞ!戦闘の準備もしておけ!」 バタバタと部屋を飛び出していく。 机の上には、ひとつ書きかけの書類が残っている。 王宮道化師(ジェスター)戦争 現在の仲間 ・ニノマエ ・定晴 END @トニー@GM:【エンディング】トニー@GM:たった5日間だったが、濃密な5日間だった。トニー@GM:私に宿った英霊、ルーラーの大岡殿は、自身を維持できる魔力がなくなるまでの間、部下達とともに修復に奔走してくれていたため、大岡殿が帰られたあと私がすべきことはほぼないに等しかった。 最もあれだけの強力な魔術師、英霊たちが集まったにも関わらず土地や住民たちへの被害もなく、多少の修復作業だけで済む、僥倖といえるほどのものだったので、どちらにせよ私の仕事はほとんどなかったとも言えるのだが。トニー@GM:今思い出しても、大岡殿がただの一度も刀を振るうことなく(口を出すことはあったが)終えられたことが奇跡のようだ。 めぐり合わせによっては未曾有の大災厄が起こっていてもおかしくなかっただろうに。 あるいは勝者の叶えようとする願いの如何によっては地獄になることもあり得た。 だがそのどちらも起こらず、街への被害は戦闘の後による路面、建築物などの多少の損害のみで、無関係の一般人への被害は怪我人の一人、目撃者すらいなかった。トニー@GM:今回の聖杯戦争の勝者である二組も、善行の類を成すと大岡殿に言っていた。 忌々しげに吐き捨てる様子ではあったが、どことなく信じてみてもよいかと思える。 でなければあの大岡殿が『武運を祈る』などとは言うまい。トニー@GM:しかし、自ら参加したが故の自己責任であるとはいえ、一人の少女を死なせてしまったことだけが無念である。 表情に出ぬ御仁ではあったが、大岡殿もそこをいたく気に病まれていたようであの少女を手厚く葬るよう指示を出しておられた。トニー@GM:あの少女の願いは世界平和、だったか。 多少言動が危うく、彼女の思うそれと私の思うそれが同じものだという保証はないが。 せめてこの老骨が少しでもその世界平和に近付けるよう、できることをするのは多少なりと弔いになるだろうか。老いぼれの勝手な思い込みかも知れないが。トニー@GM:@←前|次→ 1日目 |02KK聖杯戦争OP |02メイン |0201霊地 |0201学園| 2日目 |0202海岸 |0202学園| 3日目 |0203霊地| 4日目 |0204霊地 |0204霊地02 |0204霊地03 |0204霊地04 |0204霊地5 | 5日目(最終日) |0205霊地 |02聖杯戦争ED |02ネタバラシ回|
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PLAYER@みみぴい:【バッドエンド】 初めてゲームを触ったのはいつだっけ? キャラクターを支配するのは楽しかった コントローラーの操作のままに手足のようにキャラクターが動くのは楽しかった クリアしたゲームの数が増えるたび達成感と寂しさが体をよぎった 聖杯戦争を勝ち抜くための要望が日に日に増すたび連中が憎たらしくなった 聖杯戦争へ参加しても 俺の名前でスコアは残らない どれだけ白熱してもどれだけ接戦しても優勝したとしても 魔術師(あいつら)が名付けた以上リュナスはただのキャラクターネームだから 名家の面子を潰してゲームを滅茶苦茶にできたらどれだけ楽しいだろう おどけた司会も有象無象の参加者も裏切って だから俺は俺のプレイヤーを殺して乗っ取った 間違いなく俺が俺のゲームで遊ぶために なのに早すぎないか? 一人も殺せないで同情されているなんてまったくの負け犬じゃねーか ヤギは行っちまうし コンティニューはもう効かない 俺が落ちてもゲームは続くんだ 聖杯は汚染されないまま誰かの手に渡るんだろう 中ボスにもなれやしない 結局俺は弱小プレイヤーだったわけだ …ゲーム、オーバー ダガ—ぐらい握れると思ったけど、思ったように動かねーや ハハ、お前らこれ以上同情すんじゃねーよ。 雑魚倒したら次の敵が待ってンのがゲームなんだから 責任もって俺が倒せなかった強いの倒せよ じゃあなDIO@ゼロサキ:DIO EDDIO@ゼロサキ:会議室の様な部屋、かなりの広さをもつその部屋には現在誰もいない。 しかし、そこには一台の大型テレビがあり、そこには一人の男が映し出されていた。 その男は、ビルの屋上からワインを飲みながら街を観察している。 DIO「なるほど・・・いささか拍子抜けした結末ではあったが・・・まぁ息抜きとしては悪くなかったな」 DIO「出来れば太陽を克服してからジョースターを潰しておきたかったが・・・仕方あるまい」 ???「いえいえ、なかなか面白い出し物だったじゃないですか?見てる側は非常に面白かったですよ?」 DIO「貴様か・・・何をしに来た・・・ハザマ」 その瞬間、影が増える。そこにいたのは黒いスーツを着た男だった。 ハザマ「いえいえ、せっかくの舞台だったので感想を言いに来たんですよ。皆さん楽しんでましたよ?」 DIO「ふん、別に貴様らを楽しませるために参加したのではないがな!それで?他の連中はどうした?」 ハザマ「あぁ、吉良さんは手の綺麗な女性を見つけたと途中退場、 堕落王はバーサーカーを見て新しい発明を思いついたとこちらも途中退場です。 今頃、どっかの町にウイルスでもばらまいてるんじゃないです?」 DIO「ほう?それはいいな。結果次第ではそのウイルスは貰いに行くとしよう。カイロにばら撒けばジョースターへの足止めにはなる」 ハザマ「そのジョースターですが、どうも新しく助っ人を呼んだそうで、吸血鬼狩りの専門家と剣を持った一般人だそうです」 DIO「ふむ・・・では堕落王はついでに連れて行くか・・・そういえばハザマ、次の聖杯戦争は誰が出る?」 ハザマ「あぁ、次は私か・・・もしくはあの病人が出ますよ。そろそろ彼も聖杯がないと辛そうでして。」 DIO「なら次はゆっくりと見学させて貰おう。ヴィルヘルムも復活したのだろう?」 ハザマ「えぇ、獣殿が作り直したそうです。便利な固有結界ですよねぇ。」 DIO「魔力さえあれば無限に作れる駒だ。さぞかし便利だろうさ。」 ハザマ「ですねぇ、ではそろそろ私は行きますよ。一部の方々は適当にどこかで暴れているようですし、回収しないといけませんので。」 DIO「そういえば・・・私はこの組織では新参だが、誰が、何故この組織を作ったのだ?ハザマ」 ハザマ「誰が作ったかは私も知りませんよ。私も途中参加ですしね。ただ作った理由は知っていますよ。」 DIO「それは?」 ハザマ「面白いからに決まってるじゃないですか!今回の様な化け物を殺す英雄譚も、化け物に殺される恐怖劇も・・・ね。 それこそが、我々、王宮道化師(ジェスター)の存在理由ですよ。」 DIO「ふん、狂人が。まぁいい、精々利用させてもらおうか。では私も行くとしよう。次の舞台楽しみにしているぞ。」 ハザマ「えぇ・・・それでは視聴者の皆様、御試聴ありがとうございます。今回は見事なハッピーエンドでいしたが、 次はもっと楽しい楽しいエンディングをお見せしますよ・・・クク、ヒャハハッハハハハハハハハッハハハ!」 ブチン・・京里@たかみち:開発地の機材の陰、日なたを避けるような場所にそれはあった。 「・・・なんであんな綺麗に残ってんだよ」 腕を落としてきたという彼の言葉が気になり向かってみた結果がこれだ。 だいぶ時間が経っているだろうに傷みもなく美しいままの腕を見るに、本当にキャスターのマスターは人の理の外にあったらしい。 『吸血鬼は不老不死を誇り、その血を使って眷属を増やす』聞いたところによるとDIOはそのような存在だという。 「ならもらうわけにはいかねえよな、不老不死の人狼とかとんだバケモンだろ」京里@たかみち:俺が傷つけた街で過ごす最後の日。 久我原と話し合った結果、俺は明朝ロンドンに向かうこととなっている。 フランは早々に帰国してしまい手紙を出すと言ってくれたがどうも行き違いとなりそうだ。 神足とはあまり話ができなかったなと本人に零したらその分いい土産話を頼むと言われた。 エルトラストとあの聖女にも一言礼を言いたかったのだが、無理に探すのもなんだか野暮だ。 「…本当に俺は、恵まれてんなぁ」 多くを傷つけた自分に立ちあがる機会をくれた人がこんなにもいてくれる。 無論、この腕の持ち主の彼もまたその一人なのはまぎれもない事実だ。 いつかこの街に戻り、この街を今度こそ守る前に言葉を交わせたらというのは流石に贅沢だろう。 彼の腕から抜き取った腕輪がひとつ、ドッグタグと並んで胸元に揺れる。 「ありがとう、人間になってみせるからよ」フランチェスカ@辿条:Francesca・Croce【バッドエンド】フランチェスカ@辿条:「今日は。それとも、チャオ!の方がわたしらしいかい?この手紙が届く頃はジャポーネは何時だろうね。 ともあれ今回の出来事でのゴタゴタはまだ収まっていないだろうし、さくっと手短に纏めておこうと思う。 んーと、まあ。ただの宣伝で申し訳ないのだけれど、今度例の街にて我々はオペラを講演することになったんだ。 のうのうと生き残ってしまったからね。開き直って本職の方に打ち込もうって事にしたのさ。 楽団の皆には怪我やら何やらを心配されてしまったよ、全く以て大袈裟なものさ。 段々この時期、ジャポーネは暑くなって来るんじゃないかな?気を付けて日々を過ごしてくれよ。 平気そうなのは人狼の坊やぐらいかな?彼は今、時計塔へ向かっているのだったっけ。元気かな。 用事も書き切れていないのに話がそれてしまうのはわたしの悪い癖だな、失礼。 今度のジャポーネへの旅は1か月後になるから、もしよかったら観に来ておくれよ。封筒にチケットを同封しておいたから。 それでは、Ci vediamo.また会える日を楽しみにしているよ。 親愛なるきみのFrancesca・Croceより」フランチェスカ@辿条:古惚けた楽譜と台本をぱさりとそこに置く。さて、残りの準備期間は1か月だ。それまでに用意を整えなければなるまい。 彼らと会えるのが楽しみだ。人狼の坊やは帰ってきてくれるかな。新調した楽器も見て貰いたいんだ。 善性の人間たちが勝ち残り、平穏を迎えたあの戦争。今でも鮮烈に思い出せる、なんと甘美な舞台だったんだ。 結局舞台を一番いい位置で観られるのは役者に他ならない。その蜜をカネなどと言う無粋な対価で啜ろうなどと、考えが甘いのだ。 ”彼ら”は最高の役者であり、観客なのだ。舞台からもう降りてしまうなんて勿体ない。なあ、そうだろう。 「新たな戦争-舞台-を始めようじゃあないか」 1か月。ありとあらゆる手段を用いて、根回しをしないといけない。新たな聖杯は既に胎動を始めている。 血塗られたような舌がその口から覗いた。窓に映った姿に、貌は—————神足 文斗@たまき:あの戦いが終わってから、もう何日が経ったのだろう。 籠の中からばさ、と軽い音を立てて空に飛び立つ烏の姿を見ながらぼんやりと思い出す。 一つ一つ、ゆっくりと、骨董品に手を触れるように、埃がついていないか確かめるように。 彼との最期の戦いを終えて光の粒となって消えていく彼女の言葉が烏の羽音の中でもはっきりと聞こえるほど、鮮明に頭の中に響く。 『やりたかったことはいろいろあるけど、満足よ』 結っていた髪が解けて、その一本一本がきらきらと輝く。このときだけは素直に綺麗だな、と思った。 『終わり良ければ全て良し、あたしも潔く座に還るとしましょう』 『……気を付けて』 何か気の利いた言葉でも、と口を開いてみても、ごく単純なものしか紡げない。 『ありがとう、マスター。貴方のような人に召喚されて良かったわ』 『……珍しく素直だね』 『今にも泣きそうな顔をしてる相手に向かって、突き放すようなことを言う奴だと思ってるワケ?』 『い、いや、そんなこと、は』 言われて初めて目元にたまる熱いものの存在に気付く。未だ令呪の刻まれた手の甲でそれをぬぐった。 『泣かないで、マスター。きっとまた会えるわ。いいえ、会いに来てあげる』 暖かく眩い光の中で彼女が微笑んだ。まるで女神のようだ。いや、実際女神だけど。 『だから、あたしはさよならは言わないわ。もう一度会いましょう。約束よ』 一際大きく金色の粒子が舞って、それから先は———神足 文斗@たまき:烏が一羽、雲一つ無い青空から降りてくる。 使い魔の飼育なんてめんどくさいと最低限のことしかやってこなかったけど——あの時をきっかけに、少し扱いが上手くなった気がする。 「少しずつでもいいから、こうやって勉強していけば……」 かつて令呪が刻まれていた手の甲に触れながら、ぽつりとつぶやいた。 もう痛みは無い。 一度は投げ出そうとしたこの力だけど、こうやって共に歩んでいく人生も悪くないかもしれない。葵@RE=IN:【久我原 葵 ED】 秋の聖杯戦争から早1か月。そろそろ外出時に厚手の上着が欲しくなってくるころだ。 久我原の土地はすっかり元通り。未だ聖堂教会から使者は来るけれど、あの頭を悩ませ続けた日々を想えば何ということはない。 さて。 セイバー……いや、ローランは女神アテナと最期に刃を交わし、満足気に英霊の座に帰った。 元々、私は願いのある身ではなかったし、あれでよかったのだろう。少しもったいない気もするが、切実な願いを退けてまで私の欲を優先することもあるまい。そもそも、そんなことをしていたらセイバーに反対されたと思うが。 自分でも、よく生き残れたものだと思う。同盟者に恵まれたと言えばそれまでだが、それ以上にセイバーの存在が大きい。彼の背に守らていた時は、要塞に守られているような安心感すら感じた。 だからこそ……私は、私のできる事を、手段を択ばずに行えたのだろう。 ……きっと彼は気付いていたけど、見逃してくれたのかもしれない。 彼は言っていた。「僕ら聖騎士は正義の味方ではなく、悪の敵だ」と。 私がもし、あのまま……いや、何も言うまい。 私と、セイバーの目的は果たしたのだから。 それだけ……ただ、それだけの事……。 〆零史@エルトラスト:【グッドエンド】零史@エルトラスト:——さて、ひとつ僕の話をしよう。零史@エルトラスト:僕の名は、エルトラスト改めアーロン・ユルキアイネンⅡ世。 戦争の途中、アヴェンジャーに命を奪われたマスターに代わり、僕が襲名した。 そして僕らは、アヴェンジャーを打ち倒し、聖杯戦争に勝利し、願いを果たした。 聖女様と共に生きるために、彼女に受肉を果たしてもらった。 後は、僕の肉体を人間とする事だけ。零史@エルトラスト:……そう思っていたんだがね。零史@エルトラスト:かつての僕のマスター、アーロン・ユルキアイネンは、魔術師として、 ある物を残していた。零史@エルトラスト:一つは、僕と同じホムンクルス……つまり僕の弟や妹達。 これがまた多数いる。使い捨ての消耗品だから、数を多く作っていたのだろう。 この維持費。これが馬鹿にならない。 彼らにだって命はある。意思はある。死んでほしくなんてないからな。 二つ目。この戦い、番組として放送していたものだから、 視聴者の金持ちへの根回し。聖杯戦争の後片付けは僕がしないといけない。 主にアヴェンジャーなどが暴れた被害者への対応などだ。 まあ、これは襲名した時にやらねばならない事と決めていたが。零史@エルトラスト:この二つの対応をしながら、僕は今、聖女様と毎日頭を悩ませている。 いざとなったら、葵に助けを求めるかもしれないな…… 他にも色々と立ち向かわなくちゃいけないことは沢山ある。 キャスターのマスターとかもまだ生きているからな。 また、戦うことになるかもしれない。零史@エルトラスト:けど、僕は今、幸せだ。 大切な人と一緒に、同じ時を生きていく事が出来る。一緒に進んでいく事が出来る。 ああ——それはなんて待ち遠しい、希望に満ちた——零史@エルトラスト:〆A.J.@監督役トニー:【アルティナ・ED】 崩れてしまった教会の一画に地下室の入口がある。 幸い多少の瓦礫が落ちているのみで私の力でも動かすことができる。 そこにはマスター、アーロン様の魔術工房がある。 とはいえ、あの方はもともと多くの荷物を持たないから、旅行鞄2つ程度で済んでしまう。A.J.@監督役トニー:荷物を片付けながら思う。 私はエルトラストお兄様のように戦闘用に造られたホムンクルスではないから、 出て行ったところであの時マスターを助け出すことはできなかっただろう。 護身術程度の魔術は使えるが、それでも暴走状態に陥ったアヴェンジャーが相手では時間稼ぎにもなるまい。 マスターからもそう指示を受け、私はマスターが運営を行えなくなってから隠れるように代行していた。A.J.@監督役トニー:マスターからの指示だった。時間稼ぎも出来ない。 マスターがそう言うなら間違いないだろう。 しかし。それでも。私はマスターを助けに出るべきだったのではないか。 誰に何と言われようと私の造物主だった。 ろくなことは出来なかったかもしれないが、それでも隠れていただけよりも、何かが違ったのではないか。 作業をしながらもそのことが頭を離れない。A.J.@監督役トニー:ならば私が今後どうするべきなのか。 マスターの後を追う? いや、そんなことは望まないだろう。 マスターは合理的な人だった。 無駄なことは一切やらない。必要最小限のことだけをやる方だった。 であれば、私がこうして生き延びるのは無駄なことではないとの判断なのだろう。 あるいは――A.J.@監督役トニー:「……私を助けてくださったのは、私が娘だったからですか?」A.J.@監督役トニー:否定していた親子の情。非合理な感情だと常々仰っていた。 しかし、荷物の一つ、机の上に置かれた、普段の角度からは見えなかった写真立て。 まだ赤子だった私とエルトラスト兄様を抱いたその写真は、どこか微笑んでいるようにも見えたというのは、勝手な考えだろうか。A.J.@監督役トニー:非合理な、私の願望はさておき、私にはまだやらなければならないことがある。 一人でも多くの人に、絶望的だった渇望、届かぬ願いに手が届くかもしれない可能性を。 そのための聖杯戦争なのだ。 マスターが亡くなってしまったことで既存の手段は使えなくなってしまったが、何とかなるだろう。A.J.@監督役トニー:なにせ、マスターの編み出した聖杯の創り方は、私の頭の中に入っているのだから。 半ば機械になってしまったマスターの心臓をそっと箱にしまい、鞄に入れた。A.J.@監督役トニー:【完】←前|次→ 1日目 |01SB聖杯戦争OP |01メイン |0101教会 |0101住宅街 |0101霊地| 2日目 |0102教会 |0102住宅街 |0102霊地| 3日目 |0103教会 |0103霊地| ※申し訳ない、この日だけログ保存形式を間違えたため記事内にリンクがありません…! 4日目 |0104学園 |0104住宅街| 5日目 |0105学園 |0105霊地| 6日目 |0106住宅街| 7日目 |0107霊地| 8日目 |0108教会| 9日目 |0109霊地 |0109教会| 10日目(最終日) |0110霊地 |01SB聖杯戦争ED |01ネタバラシ回|
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聖杯戦争 本来はゲーム『Fate/stay night』における用語。 魔術師達がサーヴァントと呼ばれる使い魔を召喚し、あらゆる願いを叶える万能の願望器・聖杯を賭けて戦う儀式である。 この言葉がパロロワ界隈の用語として定着したのは、2011年にスタートした『二次キャラ聖杯戦争』が発端である。 これまでのパロロワスレと異なり、2人1組のペアバトルで展開された同スレは、界隈に大きな話題を呼んだ。 同企画が完結まで行き着いたことで「リレー作品でも聖杯戦争が可能」ということの実証となった。 その後2014年に、『第二次二次キャラ聖杯戦争』が開かれたことで、聖杯戦争熱は一気に加熱。 登場話コンペが新たな聖杯戦争を呼び、多くの企画が発足されるようになった。しかし、その一方で企画の大半が『第二次二次キャラ聖杯』の登場話コンペの流用であり、元の書き手が参加していることも少ない為、進行具合に大きな差がついている。 また2015年8月から聖杯戦争、ひいてはFateの本家であるTYPE-MOONが発表した『Fate/Grand Order』に注目が集まり、それと対照的に火付け役となった『第二次二次キャラ聖杯』を筆頭に多くの企画が長期間投下のない過疎化、ひいては事実上の打ち切りが後を絶たないのが現状である。まぁ、大人の事情で完結が取り消されて黒歴史になるやつもあるし、書き手のほとんどが素人だから是非もないよネ! 聖杯戦争スレの大きな特徴は以下の通り。 参加者はFate原作のルールに則り、マスター・サーヴァントの2人1組で参戦する。 参戦作品の投票は基本設けられず、直接登場話候補が書かれ、その中から採用される話が選ばれる(通称「登場話コンペ」)。 上記特色から参戦作品の縛りがなく、単独参戦が大多数を占めている。 会場は街が殆ど。更に会場内に参加者以外のNPCが存在しており、日常生活を営んでいる。 参加者(マスター)もまた街の住民としてのロールが聖杯から与えられている。 これらの特徴は基本パロロワスレにはないものであり、聖杯戦争スレを独自のジャンルとして確立させている。 あくまでも聖杯戦争の形式を借りた二次創作なため、パロロワに原作バトロワ勢が必須でないように、Fate勢が必須ということもない。 参加者以外の人間がいない隔離空間で殺し合うパロロワと異なり、会場内で一定の社会が形成されていることが殆ど。そのためインフラや経済などが生きており、参加者(マスター)は『日常生活』を送って身を潜めながら戦うことになる。 パロロワと比較して能力制限が緩い、または殆ど存在しない。特にサーヴァント側で参加したキャラはステータスのシステムによって逆に原作以上に能力増強が為されているパターンが少なくない為、パロロワ以上にバトル色が強い。更にランダム支給品が存在しない事もあって、純粋に主従の戦闘力・知力・権力等といった総合力が有利不利に直結する。 一覧 俺ロワ・トキワ荘 二次キャラ聖杯戦争 第二次二次二次キャラ聖杯戦争→スレ PSYREN聖杯戦争 二次キャラ聖杯戦争・獅子王杯(非リレー)→スレ 二次キャラ聖杯戦争・聖杯大戦 魔法少女たちの聖杯戦争(非リレー) →wiki 聖杯戦争異聞録 帝都幻想奇譚 夢現聖杯儀典:re Gotham Chalice 邪神聖杯黙示録~Call of Fate~ 少女性、少女製、少女聖杯戦争 猛虎/聖杯★戦争↑↑(ダブルアッパー) (非リレー) ホーリーグレイル・オンライン Fate/Fanzine Circle-聖杯戦争封神陣-(盗作発覚により黒歴史化) 魔界都市新宿 ―聖杯血譚― 聖杯戦争異伝・世界樹戦線 Maxwell s equations Pacific―第一次深海戦争― 真・安価聖杯 Fate/Reverse ―東京虚無聖杯戦争― 仮題/終焉戦争 下北沢聖杯戦争 二次キャラ性杯大戦争 サマナーズ・バトルロワイアル(聖杯風ロワ) 柩姫聖杯譚/Holy Embryo 聖杯四柱黙示録 Fate/KAWAGOA エロエロ大作戦 ニコニコin聖杯戦争 どき! 死亡者だらけの聖杯戦争!! Fate/Malice Fate/Malignant neoplasm 聖杯幻想 →wiki Fate/Winter morning -史実聖杯- 聖杯武芸帳 - Fate/Sword Dancers - →wiki ウェイバーが生き残る聖杯戦争 Fate/Fessenden s World-箱庭聖杯戦争- →wiki Fate/Mythology――混沌月海神話 →wiki Fate/Bloody Zodiac ■■海底都市冬木 →wiki Fate/Over The Horizon 二次キャラ聖杯戦争OZ EFFECTIVE EARTH 電脳聖杯戦争 ~汝、相性をもって最強を証明せよ 聖杯戦争-(マイナス)1/「はじまり」の短編集(登場話のみ) →wiki 士郎「知っているのか、セイバー!?」(他聖杯のサーヴァント紹介) Fate/XXXX 聖杯戦争・断片集(フラグメンツ) (途中話・最終話のみ) →wiki その他したらば テラカオスバトルロワイアル 第五期 バトル・ロワイアルII【聖杯戦争】(葱BRII) 書き手聖杯戦争 第二次二次キャラ聖杯戦争 非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Fate/Another factor →wiki 聖杯戦争っぽいオリロワ →wiki その他(創作発表板) アニメキャラで聖杯戦争リレーSS 第二戦 →http //www18.atwiki.jp/animefate/ ぼくのかんがえた聖杯戦争 →スレ
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東京のはずれの小さな街に、5年生の女の子が住んでいました。 ごく普通の女の子は、ごく普通のオカルトマニアで、ごく普通の魔法書を読んで、クラスの友だちに、ごく普通にきみわるがられていました。 ですが、彼女はごく普通の女の子と違うところがありました。一つは、うっかり黒魔女になったこと。もうひとつは、ある人を助けるために聖杯戦争に参加することでした。 「うわっ寝過ごし――あれ‥‥」 チョコこと黒鳥千代子が目覚めたのはもうすぐ6時になろうかという時だった。思いの外早起きしてしまった自分を恨めしく思いつつ、あと二時間は寝れるなとすぐさま二度寝目に入る。 しかし。 「寝れない‥‥」 なぜな目が冴えている。眠気がやって来るどころかなにか大事なことをやり忘れているような気すらしてくる。 「‥‥あー、ドリルやらなきゃ。」 ようやくすっきりしはじめた頭で思い出したのは宿題のことだった。これをやらないとまた怒られる。いやいやながらも起き上がり学習机に座って始めようとするが。 「あれっ、どこだっけ?ドリルドリルドリ――ドリル?」 今度はドリルが見つからない。そもそもどんなドリルかがまず思い出せない。これはまずい。宿題を忘れているのに忘れていたことを忘れているパターンだ。ランドセルにはそれらしいものもないしもしかして学校に忘れたのだろうか。 「ううん、学校には持っていってないし持っていけるわけない。それに松岡先生はあんなガミガミ怒らない‥‥あれ?じゃあ――」 じゃあ誰に怒られていたのだろうか。そもそもなぜ学校に持っていってはいけないのか。そんなドリルってどんなドリルなんだ。考えれば考えるほど頭に霧がかかり、そして。 「――よし、寝よう。」 チョコは考えることをやめた。なんかめんどくさくなってきた。ぶっちゃけ思い出すとろくでもないことになりそうな気もした。元はオタク系だもん、しかたないよ。しかしここで問題が起きる。既に目は冴えてしまっていていかんせん寝つけない。かといってこんな時間に寝ないのもいかがなものか。結果眠くなるまでとりあえず魔法書でも読んでごろごろしてようと思い本棚を見る。だが、そこに肝心の魔法書がない。 「ウソ、なんで!あれ!?」 めっちゃ驚いた。趣味の魔法書が一冊もなくなってるとか地獄少女全巻無くしたのの半分くらいのレベルだ。これにはさすがに焦り魔法書を慌てて探し始めるも、ない。出てくるのは輪島塗の箸に黒いゴスロリとわけのわからないものばかりで。ほんと箸とゴスロリしかなくて。ほんと箸とゴスロリしかなくて。 「――あっ、そっか。あー‥‥」 ようやく思い出した、なぜ自分がここにいるのかを。なぜこんな時間に起きてドリルなんかやろうとしてたのかを。 「あたし黒魔女さんだった。」 チョコはすぐにゴスロリに着替えると紙とペンを取り出す。黒魔女修行の朝練が無くなったのはいいがそれより大変なことが既に起こっている。 聖杯戦争のルールはさっき思い出した。使い魔を呼んで戦うポケモン的なものだったはずだ。負けたら死ぬというのが実に黒魔法らしい。 チョコは書き上げた紙を見る。いわゆるこっくりさんの時に使う紙だが、彼女が黒魔女になったときを思い出しながら書いたのでキューピットさんと呼ぶべきか。 紙を床に置き、手をソノウエニ置く。 サーヴァントを呼び出す呪文は思いつかない。ので、彼女にとって一番思い出深い呪文を使うことにした。 「ギュービッドざん、ギュービッドざん、南の窓がらお入りぐだざい」 唱えたのは始まりの呪文。彼女が黒魔女になることになった、自らの師を呼び出した呪文。 彼女が求めたサーヴァントは自らの師のようなサーヴァント。この聖杯戦争で最も頼りになるイメージを浮かべその呪文を唱える。 そして、光だした紙を直視できなくなり彼女が目をつむったときその声は聞こえた。 「お前が私のマスターか?」 その声は彼女が求めたものとあまりに似ていて。 目を開けたらとき目の前には一人の美女が立っていた。彼女の師と同じように銀髪で、彼女の師とは真反対の白ずくめの服。 薄く微笑んだその姿に思わず見とれていて。 ムニッ。 (なっ!?) 唐突にほっぺたを引っ張られた。 「令呪があるならマスターだな。最初にいっておくが私のステータスは思ったより高くなかったがお前からの魔力供給しだいで変わってくる。それと聖杯戦争についてだがまず最初は動くな。漁夫の利を狙われるのがオチだ。最初は情報を集めるんだ。敵のサーヴァントを見つけたからといって積極的に襲うのはもっての他だ。これだけの数のサーヴァントがいれば自然と徒党を組み始める。あとライダーのクラスには気をつけろ。空を飛べたり対軍宝具を持ってたりしたらマスターを狙われる。」 微笑みからは想像できない真剣な顔でそのサーヴァントはそう言った。サーヴァントは歴史上の英雄らしいから昔そういう人と戦ったこともあるのだろう。 とりあえずドラゴンは恐いって思った。 【マスター】 黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!! 【参加方法】 『黒魔女さんのクリスマス』において異端審問にかけられそうになったときに持ってた輪島塗の箸がゴルフェの木片だったっぽい。 【マスターとしての願い】 とりあえず元の世界に帰って異端審問をどうにかしておばあちゃん達を助け出してあとついでに黒魔女やめたい。 【weapon】 杖(輪島塗の箸。魔女のおばあちゃんから貰ったものだからゴルフェの木片かも) ゴスロリ(着てると静電気のように溜まった魔力の影響で魔法が使いやすくなる。魔法でいつもキレイ) 【能力・技能】 黒魔女三級程度の魔法は一通りおぼえているが使いこなせるかは別。とりあえず人に死の呪いをかける即死呪文はうまく使えない、はず。 また彼女の世界の魔法体系のせいで『時間あたりの供給量は少ないが魔力は実質無尽蔵』というわけのわからないことになっている。供給量の上限を上げることは相当練習しないとムリ。 【人物背景】 第一小学校五年一組。通称チョコ。 黒髪おかっぱで運動神経はもちろん頭も悪い。一人と夜とオカルトが好きというニチアサの主人公には絶対になれないタイプ。 祖母が魔女であったことから黒魔法の才能があり、魔界から派遣されたインストラクターのギュービッドのもとで黒魔女の修行をしているが、いやいややらされているため本人は黒魔女になったらすぐに黒魔女をやめる気でいる。 今回異端審問官のロベに嵌められ異端審問を受けることになり、その最中になんとかしようと考えてたら聖杯戦争に参加していた。 【方針】 負けたくはない。でも傷つけたくもない。 サーヴァントに言われたことをとりあえず守る。 ていうかまずは名前を聞きたい。 【クラス】 セイバー 【真名】 テレサ@クレイモア 【パラメーター】 筋力B+ 耐久B 敏捷B+ 魔力A+ 幸運D 宝具B 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:- セイバークラスにあるまじきことだが、騎乗スキルは存在しない。 【保有スキル】 半人半妖:B その身に妖魔の血肉を取り入れた者。単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。以下のスキルは全てこのスキルに基づく。 妖力解放:A 魔力を身体強化に注ぎ込み、筋力、耐久、敏捷値を上 昇させる。総魔力量の10%以上で瞳の色が金色に、30%以上で顔つきが醜く変貌し、50%以上で身体つきが変化する。 80%を超えると元に戻れなくなり、妖魔として覚醒する。 再生能力:C 魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。時間をかければ切断された四肢の接続が可能。魔力の消費量に伴い、妖力解放に順じた肉体の変貌が起きる。 気配遮断:D サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。 【宝具】 『妖気探知』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000 テレサの所持する最もずば抜けた能力が、宝具として昇華された。 テレサを中心とした半径数Km圏内の魔力を感知し、位置と大きさを正確に捕捉できる。強い魔力や同じ探知 の気配なら圏外でも感知する。さらに気配遮断さえ見破ることが可能。 戦闘時には敵の魔力の大きさ、流れを一つ残らず掴み取り、全ての行動、攻撃の軌道を予測する。 『無銘・大剣(クレイモア)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1 クレイモアはテレサの元居た世界では戦士の象徴、代名詞として扱われているため、宝具として登録され た。 特殊な能力は一切無いが非常に硬度が高く、格上の宝具と打ち合ってもそれが単純な物理攻撃なら、折れる どころか刃毀れ一つ作ることは無い。 【Weapon】 『無銘・大剣(クレイモア)』 テレサの宝具でもある。 【人物背景】 人間に擬態し人を食う妖魔と、それに対抗するべく妖魔の血肉を取り入れて人外の身体能力を手に入れた、 半人半妖の戦士が戦う世界。その世界でテレサは全現役戦士のナンバー1、さらに歴代ナンバー1の中でも最強とまで謳われる存在だった。 力、素速さ、剣技の全てが並の戦士をはるかに上回り、特に相手の妖気を感知する能力が極めて優れ、妖気の流れ、強弱から動きを予測する先読みを得意とし、いかなる相手、人数であっても微笑みを絶やさず敵を殲滅すること、そしてそれ以外に特に目のつく戦い方をしないことから「微笑のテレサ」の異名を持つ。 人間にも同僚の戦士にも何も期待することなく、生き甲斐を感じる訳でもなく淡々と妖魔退治をしていたが、ある依頼で偶然妖魔に連れ回されていたクレアを助けたことで、運命が変わることになる。最初は勝手についてくるクレアを疎ましく思っていたが、クレアの追う理由がテレサがずっと押し殺してきた心の痛みを抱きしめていたいという理由だったことから、互いにかけがえのない存在となる。 その後、クレアが人として幸せをつかむことを願って妖魔を退治した村に預けたが、その村が盗賊に襲わ れ、クレアを助けるため盗賊達を皆殺しにした。その為粛清される所を、逆に他の戦士を斬りクレアのためだけに生きることを決意し、組織を離反して追われる身となった。 追手として選ばれたテレサ以下のナンバー2からナンバー5の四人という当時最強の布陣を妖力解放無しの圧倒的な強さにより返り討ちにしたが、いずれ自分の強さを超えると直感したプリシラの止めを刺さなかっ た情けが仇となり、一人でテレサを殺すため無理な妖力解放をし、限界点を越え後は覚醒を待つのみとなっ たプリシラに自分を殺すよう頼まれ止めを刺そうとした瞬間、逆に両腕を斬り落とされ、首を刎ねられて死 亡した。 【聖杯への願い】 受肉してクレアと暮らす。 【基本戦術、方針、運用法】 イースレイ同様、基本は陣地に篭もり情報収集に専念し作戦を立てる。 戦闘以外の部門は魔術師らしいマスターに期待したいがたぶんムリ。 戦闘は剣による接近戦を主とし、マスターを狙っていく。 徒党を組むことも考慮に――? あと竜種は最大限警戒。